第五章 過去との決別 〜ミッドチルダ J・S事件〜
最終話 少年の内に秘めたる思い
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ゆっくりだけど俺に手を伸ばす。俺はその手をつかもうとして......
『はーい、そこまでよー』
気持ちの悪い声を聞いた
あいつの手が止まる、肩を震わせ、まるで獣に魅入られた動物のように目は開き、息は不規則になる
そして俺も、聞こえてきた声に吐き気を催し動きが止まっていた。その声は世の男をそれだけで魅了させることのできる色香を持っているのだろう。もっともそれ以上のものを知っている俺からしてみればどうとも思わないが
しかし、それ以上に内包されている悪意が凄まじい。蛇のように絡み、その粘つきは例え難い
そんなものを前にして、流石の俺も吐き気と嫌気を抑えきれなかった
『お坊ちゃま。いままで育ててくれたドクターの恩を仇で返すつもりですかぁー?親よりも見ず知らずの他人を信用するんですかぁー?そんなことありませんよねぇー。だから、いますることは貴方を惑わすその口、その手を切り刻むことですよぉ?』
「それでも....僕は見てみたいんだ。あの人には感謝してるけど、なぜか今、この人の言葉が正しいって直感したんだ」
俺はその言葉に驚いた。まさか、感じ取ったものを信じるのか...。全く、昔の俺にそっくりだよ
『......そうですか。なら、その迷いを消してあげます。ドクターがいざという時のためと言って仕込んでおいたコンシデレーション・コンソールが役立つとは想定外です。ですが、これで心置きなく暴れることができますよぉー。その身に宿すレリックと一緒に力の限りを尽くして目の前の男を惨殺してくださーい』
「え....?うぐっ.......。何かが入ってくる.....。気持ち悪い、こんなの.....認めない....」
通信が切れたと思ったらいきなりあいつがうずくまった。なんだ、なにがおこってる
「聞いて....。僕の中にはレリックがある。そしていま..クアットロにそれを暴走させられようとしてる.....」
何かに抗うようにしながら、俺に語りかけてくる
「お願い......お願いだから....助けて。このままじゃ、見つける前に僕じゃなくなる。そんなのは....いやだ!」
頬を伝わっていたのは一筋の涙
俺は、その言葉に対して意志を感じた。先程までは微塵も感じなかった、あいつ自身の言葉ってやつなんだと確信した。だから
「ああ、わかったとも。安心しろ、俺の名にかけてお前を助け出してやる!」
俺はあいつに対して力強く頷き、刀を再び構える
そして、嵐が起こる
「っ.......」
俺は吹き飛ばされまいと魔力を後ろに放出する。腕で顔を庇いながらもその中心を睨みつける
「いくぞ....!ビット展開!!」
嵐が
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