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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-30
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はしていなかった。でもよくよく考えてみれば、束は、篠ノ之束なのだ。篠ノ之箒の姉。剣道の全国覇者である箒が一生かかっても勝てる気がしないとまで言わしめるほどの実力の持ち主なのだ。
 篠ノ之流を十一歳で免許皆伝にまで至っている。まだまだ届きそうにない一夏からして見れば雲の上のような存在。思わず、後ろに下がってしまった。


「――――」
「――――ッ! しまっ――――」


 音もなく一夏に突っこんでいく束。自分できっかけを作ってしまい、さらには待ち受ける準備をしていなかったため反応が出来ない一夏。どうなってしまうかは明白だった。
 居合の構えから抜かれる一撃。これの威力が分からないほど一夏は馬鹿じゃなかった。その上ISのパワーアシストつき。もはや詰んでいる。


 ――ギャリリィッ!!
「そこまで」


 あわやといったところで束の刃を止めたのはいつの間にか来ていた蓮であった。
 束の刃が一夏のシールドエネルギーに食い込んだところで蓮が止めた。束が持っているものと似たようなブレードを逆手に持って腕一本で食い止める。それだけで彼の技術の高さがうかがえた。
 蓮を視界に収めた束は一夏を両断しようとしたブレードを投げ捨てる。


「あっ、れんくん!」
「もう終わったぞ。帰投命令が出ている。無事にすべて終わったから早く帰ろう、さすがに疲れた」
「えへへ、ごめんごめん。そうだね、戻ろっか」


 未だ呆然としている一夏に向いて蓮は言う。


「何をしている、さっさと戻るぞ。お前が遅れるとこっちにまで迷惑なんだ。それにお前は待機命令を違反しているからな、それ相応の罰が与えられるだろうよ」


 そう言って蓮は旅館に向かって飛び去っていく。その少し後ろを束が追いかける。どんどん二人と一夏の距離は開いていく。そうして見送っていく一夏は二人が水平線の向こう側で小さくなるまでただ立ち尽くしていた。


「くっそおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!」


 一夏の叫びは誰にも聞かれることなく波の音にかき消されて消えていった。


 ◯


「すまなかった、御袰衣、束。正直あいつのことはこちら側の監督不行き届きだ」
「べつにいーよ、ちーちゃん。もう終わったことだしね、それにこっち側の目的も果たせたし」
「目的?」
「ん? あっと、私の個人的なものだよ。欲を言えば『赤椿』の稼働データがもうちょっと欲しかったぐらいかな」
「そうか……。ともかくすまなかった、部屋でゆっくり休んでくれ。……それで? 織斑、何故お前は勝手に飛び出していったんだ」


 旅館前で千冬や真耶とセシリアをはじめとする待機組が出迎えてくれた。だが、真耶の束と蓮の見る目には少しの恐
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