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ルイズが赤い弓兵を召喚
アルビオン
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今から行くのは紛争地。
 場合によっては戦う必要があるかもしれない。
 そうだ、護身用のような短刀なんてどうだろう。

(ルイズ。君は何か勘違いしているようだが、私は剣を作らなければ弱い、というわけではないぞ? あの時のゴーレムがそれだけ強かったと言うだけのことだ。まあ今考えれば、あの剣を使うまでも無かったかもしれないが)

 ふーん。

「でも、そう言われたって私はあんたが戦う所なんてあれしか見たことないもの。……避けるのは上手かったわね」

 仕方ないじゃない。
 それにしたって今の私、傍から見たら独り言を繰り返す危ない人に思われるんじゃ……。

(む。その評価、いずれ覆して見せよう、マスター)

 どうやら私の使い魔は拗ねてしまったらしい。
 少しからかってやろうか。

「なに?あんた拗ねてるの?」

(そんな分けないだろう。ただ正当な評価を……む、誰か来たようだ)

 言われて振り返る。
 聞こえてくる足音と、朝の靄から現れる姿。
 あれは!

「ワルド様!?」
「そうだよ。僕だ、ルイズ!」

 お髭も似合う私の婚約者。
 長身に、でもしっかりとした体つき。
 そして羽帽子。
 どうしてこんな所に彼が?

「ああルイズ!僕の可愛いルイズ!」

 わわっ!
 急に抱き上げないで!

「ワ、ワルドさま、恥ずかしいですわ」
「おぉ!すまないルイズ。婚約者との久しぶりの再会に、少しばかり我を忘れてしまったようだ」

 そう言って私を降ろして……下さる訳ではないらしい。

 彼の口笛と共に現れたグリフォンに、そのまま乗せられる事になった。
 噛み付かれたりしないわよね?

「どうして貴方が?」

 荷物を馬からこちらに移している彼に尋ねると、驚いた顔をした。

「これから向かうのはとても危険な場所だ。そんな所へルイズ一人で行かせるような事、僕も、当然あの御方も良しとしないよ」

 あの御方?

「まさか姫様が!?」
「その通り」

 にこりと笑うワルド。
 アーチャーもいるから私一人というわけではないけれど、それでも心強い。
 やっぱり姫様は優しい御方だわ。
 あ、そう言えば、姫様にはアーチャーについて説明していなかったっけ。

(そうしていると、まるで貴族のお嬢様のようだな)

 やっぱり姫様と会わせたりなんかしないで良かった。
 どんな粗相をするか分かったもんじゃない。

 あとアーチャー。
 私は正真正銘貴族のお嬢様よ?
 どうやらこの使い魔、まださっきのことを根に持っているご様子。
 子供かあんた。



――――――――――――



 トリステイン南側にある都市ラ・ロシェール。
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