第75話 子供ってのは何処までも我が道を行くもの
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とは離れた場所で寝ころび、星を見上げていた。本来なら彼女の葬儀に自分も加わらなければならないのだが、遭えてそうしなかった。彼女の死の一因を担ってしまった負い目もあるが、それ以上に銀時は今の顔を彼女に見せたくはなかったのだ。
紅夜叉を、高町なのはを失ってしまい悲しみと失意の底に落ちてしまった今の自分の顔を、彼女見られたくなかった。だから銀時は参加しなかった。
「結局、俺はお前を超えられなかったか―――」
そう、銀時は満点の星空に向かい一言言葉を漏らした。
紅夜叉の死が引き金となり、攘夷志士側の士気は大きく低下してしまい、それ以降攘夷志士達は天人の大軍勢を前に敗走を繰り返す事となってしまった。その後、多くの死者を出して、忌々しい攘夷戦争は幕を閉じたのであった。
***
刃を突き付ける高杉の脳裏に蘇るあの光景。今でも片時も忘れた事などない。彼女を殺した銀時に対する深い憎しみにも似た感情を。そして、彼女と恩師を無残にも奪ったこの世界に対する計り知れない怒りと憎悪を。高杉は常に腹の中に詰め込んでいたのだ。
「銀時、俺は今でもお前を許す気はねぇ。分かってるだろう?」
「別にお前に許して貰おうなんて思っちゃいねぇよ。ただ、俺はあいつの望みを叶えただけのつもりだ」
「その結果がこれだとしてもか?」
「………あぁ」
暫しの沈黙の後に、銀時は頷いて見せた。それを見た高杉は再度不気味に笑いだした。そして、銀時に対して向けていた刃を鞘に納めてしまったのだ。
「銀時、俺達は二人とも同じ人間を目標にしてたっけなぁ?」
「何だ、唐突に?」
「俺はよぉ、あの二人に少しでも追いつきたかったんだよ。松陽先生と、紅夜叉の二人によぉ……だが、あの二人はもうこの世には居ない。二人とも奪われちまったよ。この世界と、お前になぁ」
一通り高杉が言い終わった直後の事であった。突然紅桜が納められていたケースが爆発しだしたのだ。激しい爆音と爆煙が部屋を覆っていく。
「こ、これは!」
「ふん、ヅラの奴だな。こんな手の込んだ事しやがって」
すっかり部屋一面火の海と化してしまっていた。カプセルは一つ残らず破壊されており、その中にあった紅桜の素体も恐らくは跡形もなく砕け散っている事であろう。
どうやら、一足先に桂が仕込みをしてくれておいたようだ。
「ったく、ヅラのお陰でどうやら楽出来そうだぜ」
「兄者、早くここから逃げよう! もうじ此処は火の海になる!」
急ぎこの場から逃げなければならない。でなければ爆発の影響で燃え広がった炎に飲み込まれてしまうからだ。
だが、鉄子はその場に一人へたり込んでしまっていた兄の鉄矢を放っては置けなかった。
例え間違った道を進んでしまったとし
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