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駄目親父としっかり娘の珍道中
第75話 子供ってのは何処までも我が道を行くもの
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よ! 絶対に死なせるか! お前達は……嫌、お前は俺が必ず守ってやる!」

 固い決意を胸に高杉晋介は刀を片手に鬼兵隊の先頭に立ち敵陣へと切り込んだ。その後に続き鬼兵隊が怒涛の勢いで押し込んでいく。
 数で優位に立っていた天人達は鬼気迫るこの鬼兵隊の猛攻にすっかり及び腰になってしまっていた。
 更に、天は高杉達に味方をしてくれた。
 別方向から桂、坂本率いる別働隊が到着し、戦線に加わったのである。突然別方向からの襲撃に完全に天人の軍勢は大混乱に陥ってしまった。軍勢が多いだけにその統率を執るのは非常に困難なものとなっていたのだ。
 結果として、甚大なる被害を被る結果にこそなったが、高杉率いる鬼兵隊は、攘夷志士達は今日の戦いに勝利する事が出来た。
 統率の執れなくなった天人達は忽ち蜘蛛の子を散らすかの如く逃げ去っていく。本来なら此処で追撃をしたい処だが、今はそんな余力はない。それよりも、今は二人の回収が先だった。
 白夜叉、坂田銀時。そして……

「銀時! なのは! 無事か?」

 二人の戦っていた場所へ高杉は走った。一刻も早く無事を確認したかったからだ。銀時と、なのはの無事を―――
 高杉の目には二人が映った。二人ともその場に立っていた。良かった、無事だった。安堵しつつ、高杉が二人に近づく。だが、ある程度近づいた時点で高杉は気づいた。
 その場に立っているのは正しくは銀時だけであった。紅夜叉は立ってはいない。立っているように見えているが、それは彼女の体が銀時に寄り掛かっているからだった。
 まさか、彼女に限ってそんな事がある筈がない! そんな筈は―――
 脳裏に過る不安を必至に振り切り、高杉は二人の元へと走った。そんな彼の目に映ったのは、虚ろな瞳をして立っている銀時と、物言わぬ躯となった紅夜叉の二人であった。そして、その紅夜叉の体を刺し貫いていたのは、銀時の持っていた刀であった。

「銀時……」
「紅夜叉は……なのはは……死んだ―――」

 高杉の前で、銀時はそう一言言い終えると、彼女の体を貫通していた刃を抜き取った。そして、動かなくなった彼女の遺体をその両の手で抱き上げる。

「何故だ……何故殺した! 何でなのはを殺したんだ!」
「………」
「答えろ!」

 高杉の怒号が響く。それに対し、銀時は暫しの間沈黙し、重々しく口を開いた。

「こいつが……それを望んだからだ」
「何だと!?」
「だから、俺が殺した……こいつの望みを叶える為にな」
「ふ………ふ………」

 高杉の拳が小刻みに震えていた。掌から血が滲み出る位の勢いで強く拳を握りしめていた。銀時の言い分に納得ができなかったからだ。できる筈がない。何故、何故彼女が自らの死を望まなければならなかったのか。何故、彼女が死ななければならなかったのか
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