第75話 子供ってのは何処までも我が道を行くもの
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、高杉率いる鬼兵隊は進軍を進めていた。だが、大軍勢となればその進軍の足も遅い。それに加えて天人達の待ち伏せを食らってしまい足止めを余儀なくされてしまったのだ。
このままでは先行している味方が全滅してしまう。その為、白夜叉と紅夜叉の二人だけで先に仲間達の居る場所まで突進し、先行していた味方を救う作戦を執った。
だが、それは天人達の敷いた罠であった。天人達は白夜叉と紅夜叉の二人を葬る為に二重三重の罠を敷いていたのだ。
二人が向かった時には、先行していた仲間は既に壊滅しており、その周囲には今まで以上の数の天人の軍勢がひしめき合っていた。
どいつもこいつも殺気でぎらついた目をしている。奴らの目には恐怖など微塵もない。ただ目の前にいる獲物を殺す。そんな意志しか感じ取れなかった。
「完全にしてやられたなぁ、こりゃ」
見事に敵の罠に嵌った事に対し銀時は舌打ちをした。先行していた味方は既に無く、頼みの鬼兵隊も遥か後方にて天人の奇襲攻撃に遭い合流は難しい。そして、今二人の眼前には数えるのも面倒になりそうな程の天人が居並んでいる。
「へっ、上等じゃねぇか。俺たちを殺すにゃそれ位してくれねぇと歯応えがねぇからな」
「……」
軽口を叩く銀時の横で紅夜叉は静かに刃を抜き放った。既に臨戦態勢を整えていると行った面持であった。
「間違ってもこんな奴ら相手に死ぬんじゃねぇぞなのは」
「銀時、私を呼ぶ時は―――」
「あぁ、そうだったな。死ぬんじゃねぇぞ……紅夜叉!」
「銀時もね」
互いに頷き合い、そして眼前に映る敵軍勢へと切り掛かった。それを皮切りに天人の大軍団も一斉に進撃を開始する。
斬撃と咆哮と断末魔がそれぞれ入り混じり戦場に音を作り出す。まるでオーケストラの音色を聴いているかの様な錯覚さえ覚えた。それほどまでにこの音と光景は見慣れてしまったし聴き慣れてしまったのだ。
斬撃が一つする度に一つの命が消える。幾つかの断末魔が聞こえればその大きさに見合うだけの命がその場から消える。それが戦場であった。
「怯むな! 俺たちが下がれば先行している二人が死ぬ事になる! そうなれば俺達に待っているのは敗北だけだ! 何としても押し返せ!」
鬼兵隊を指揮する高杉の激が飛ぶ。戦力差は5対2と明らかに鬼兵隊の方が下回っていた。だが、思っていたよりも天人達の攻撃の手が温い。恐らく先に先行した二人が派手に暴れ回っている為に天人達も思うように攻勢に回れないのだろう。
それが鬼兵隊にとっては絶好の好機だった。其処に付け入るかの如く鬼兵隊は敵の陣形を崩し、敵陣を突破する手段に出た。
例えどれ程犠牲が出ようと、あの二人が居ればまだ戦える。また再起出来る。だからこそ、あの二人を此処で失う訳にはいかないのだ。
「死なせるか
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