ep-1─それは突然に舞い降りて
#04
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その銘を呼ぶ。
瞬間。
眩い光を放ちながら、インゴットが形を変えた。見る見るうちに刃と十字を模した鍔、そして柄が出現し、流麗な黒い剣が誕生……否、再誕した。
これこそが、《緋々色金》で武器を鍛つ最大の利点だ。いわば使用者ロックとでも言うべきこの機能は、設定された使い手と、鍛ち手以外の人間が、その手に持って、かつその銘を呼ばなければ、キチンとした武器の形を持たないのだ。
レンの剣、《クリミナルエスパーダ》もそうだ。もう一本、此処にはない剣と併せての一対の十字剣、その片割れであるこの剣もまた、レンとリュート以外の声には答えない。
盗難防止などに非常に役立つが、それ以外にも武器の秘密を隠したり、愛着を持ったりする意味でも、様々な場面で役に立つ。もっとも、体から離れてしまえばすぐインゴットの姿に戻ってしまう為、戦場で取り落とせば面倒なことに成るのだが――――レンの場合、とある理由に寄りそれも気にする必要は無かった。
まさしく、緋々色金の剣は、レンの為にあると言ってもいい武器。
「悪かったな、今まで預かってもらっていて」
「良いって。気にしてないし。今後とも贔屓にしてもらえりゃぁ、それでいいよ」
「……すまないな。本当に助かった」
「おう、また頼むぜ」
リュートに感謝を述べて、レンとマリアは鍛冶屋の前を去った。レンの腰には、既に愛剣がおさめられている。なんだか落ち着いてきた気がするレンであった。
向かう先は、商店街の中枢にほど近い場所――――
「……次はどうするのかしら?」
マリアがフードの奥から問う。レンの行動の目的が良く見えないからか。それとも、己の目的が達成できないからか。
どちらにせよいい気味だ。レンは内心でほくそ笑んだ。
「……仲間を、集めに行く」
「仲間?」
「ああ」
そうして辿り着いた先は――――
一件の、賭博酒場であった。
***
――この感覚も、久しぶりか。
郷愁と共に、レンは騒がしい店の中を進む。色とりどりの毒々しいネオンが煌めき、レンとマリアを照らす。
そんな風にして店の中央に辿り着いたころ、いつの間にか、ガタイのいい傷だらけの男達や、妖艶な美女たちが二人を囲んで、恐ろしい形相で睨み付けてきていた。さすがにこの感覚には慣れていないのか、マリアがぴったりと張り付いてくる。
「久しいな」
しかしレンは、何とも気安げに、やんわりと彼らに向かって言い放った。
その直後――――空気が、爆発した。
「「「「「うぉぉおぁわぁあああああッ!」」」」」
――――歓声で。
「……え?」
マリアが当
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