ep-1─それは突然に舞い降りて
#04
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そのぼろローブ」
「まぁ、な」
リュートが指摘したのは、レンの服装だった。
暗い紺色で統一された装いの上に、、唯一違う色……純白のローブを羽織っている。かつては眩かったそれも、今では何かを暗示するかのようにくすんでいた。
それでもこれは、『仲間たち』との思い出の品。捨てるわけには、行かなかった。
「……ところでレン、そっちの子は……?」
ふと、リュートがレンの後ろを指さす。そこにいたのは、同じく真っ白なローブをすっぽりと纏い、フードを目深に下ろした小柄な人物。
マリアである。昨夜のワールドとの一件があってから、何かしら彼女が危害を加えられる可能性を考慮して、こうやって容姿を隠させて連れてきたのだ。
「知り合いだ。分け合って連れ歩いている」
「ふーん」
『知り合い』、と称するのは何とも癪に障る事であったが、とりあえずそう紹介しておく。今頃マリアはフードの奥で嗤っていることだろう。
「リュート、早速だが、預けておいた剣を渡してほしい」
「了解。そう来ると思った」
レンの言葉を受けて、リュートは店の奥……彼の工房へと引っ込んだ。
「……今の子が?」
「そうだ」
マリアの問いに、レンは短く答える。というより気になったのは、マリアの「今の子」という言い方である。マリアはどう見ても十代前半にしか見えないが、リュートは今年で17歳になるはずだ。
――もしかしたらこの女、見た目通りの年齢ではないのかもしれない。
そんな事を思いながら、レンはリュートの解説をする。
「奴の保有する《心意力》は桁違いだ。こと『流動性』に関しては世界でもトップクラスだろうな……ヒヒイロ鋼でアイツに扱えないモノは存在し無いし、あらゆる形をとらせることが出来る」
「ふぅん……すごいのね」
「ああ。剣技の方もかなり強いぞ。
……その代わりと言ってはなんだが、それ以外の事は一切できん。今朝言った通りに研磨くらいだろうさ……それでも自分の店を持っているんだ。それだけアダマンタイト巧としての実力があるということなんだろう」
そうこうしているうちに、リュートが店の奥から足早に出てきた。入る前はつけていなかったグローブをはめて、その手に何かを持っている。
それは、薄く金色がかった光を放つ、深い紺色のインゴットだった。相反する色。明らかに異質。祖の周囲だけが、まるで空間が歪んでいるかのように重々しい雰囲気を醸し出している。
あれこそが、レンが取りに来たものである。
「ほらよ」
「ああ」
リュートがそれを差し出してくる。慎重に、インゴットを受け取るレン。
「久しぶりだな……また、俺と一緒に戦ってくれ、《クリミナルエスパーダ》」
そして、
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