暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
捕食者への革命
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騎士は、恐怖で固まっている討伐隊を楽しそうに見回し
「ユルオオオオオオ………!!!」
力強く叫んだ。
だが──
「黙れ」
「
五月蝿
(
うるさ
)
い」
一瞬で《鎧》に接近する二つの影。
一つは
白銀
(
しろがね
)
。手には、巨大な
戦斧
(
バトルアックス
)
。
一つは紅。手には、巨大な十字盾。
《鎧》に肉薄した、ヴォルティスとヒースクリフは、視認できないほどの速度で己の武器を振るう。
しかし《鎧》は、手に持つ巨大な両刃剣を体の前に突き出し、いとも簡単に防御する。
だが、ヴォルティスとヒースクリフの予想外のパワー ──主にヴォルティスの──に押され、吹き飛ばされる。
すぐさま空中で、着地体制を取る《鎧》。
だが──
「行ったぞ、卿」
「後は任せた」
「「レンホウ君!」」
交声曲
(
カンタータ
)
「
嫉妬
(
エンヴィー
)
」
二つのオレンジ色の軌跡が空間に走る。
その軌跡は宙空にいる《鎧》を正確に捕らえ、その勢いを殺さずに、足下の地面に深い傷跡を穿った。
その正確無比な一撃は、《鎧》を間違いなく両断した。
──はずだった。
黒銀の鎧は、空中という絶対的に回避ができない状況で、さらに視界的死角から放たれた一撃を体を最大限にひねって回避したのだった。
「へぇー、今のをかわすのか」
呟いたレンの背後、苔むした地面に何かが落下し、突き立った。
それは、鋭利に断ち切られた、《鎧》のヘルメットから伸びた右側の角だった。
ぐるんと振り向いた黒銀の騎士が、巨大な牙の隙間から明白な怒りの唸りを返した。
「ユルルルゥゥゥ………」
じゃりん、と右手の大剣の切っ先が地面に半円の弧を刻み込む。
フードの下で薄く開いたあぎとの奥で、深紅の眼光が激しく瞬きを繰り返す。
対して、やっと硬直から脱した討伐隊は、次々に各々の武器を構える。
そして、傍らにあるキノコが発した光が、先頭に立つヴォルティスの巨大な戦斧の、食卓ほどもある刃にキラリと反射した時──
「ユルオオオオオオー!!!!」
「おおぉぉぉぉぉぉ!!!」
両者が激突した。
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