Life5 紅の魔王と氷結の魔王
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「まーったく、士郎さんは!」
ゼノヴィアは、自分に用意された部屋で、誰に聞かせるでもない言葉と共に憤慨していた。
勿論、士郎の何時もの天然ジゴロの女誑しについてだ。
「私と言う女がいながら、部長まで誑し込んで寝取ろうとするなんて!!」
ベットの前を、左に右へと往ったり来たりしながらも、興奮を抑えられない様だ。
「こうなったら、もう、士郎さんを押し倒す以外に道は無いな・・・」
何所を如何すれば、その選択肢に辿り着くのかは疑問だが、冷静さを取り戻し落ち着いて来た様だ。
「うっ・・・・・・」
そこで立ち眩むゼノヴィア。
だが、無理も無い。
今まで見た事も無い豪華な装飾が凝られた城に入り、馴れない視線に馴れないマナー。
普段と違いすぎる体験をこうも一気に味わえば、悪魔と言う肉体は得ても精神面はそのままな為、無理が来て疲れに襲われても仕方ないと言える。
「流石に疲れたな・・・。少し、休む・・・か」
嘗てない位の大きすぎるベットに、体の全体重を預けるように倒れ込む。
しかし、このタイミングでのベットインで、ゼノヴィアは朝まで起きる事は無かった。
そして、ゼノヴィアは最後まで気づくことは無かった。
自分を、窓を隔てた外から見やる、怪しい視線に。
−Interlude−
「機嫌直しなよ、ゼノヴィア」
翌日、リアス達はマナーの勉強中の一誠と、執事としての仕事のために残った士郎をグレモリー公爵家の本邸に残して、グレモリー領観光ツアーに参加していた。
「わかってるさ、木場。けど、執事でも同行する位いいと思うのにぃ」
ゼノヴィアは、昨夜そのまま熟睡してしまったのも合わせてか、周りの空気を重くしない位には抑制しつつも、表情自体は不機嫌そのものだった。
「ごめんなさいね、ゼノヴィア。士郎が私の事を、庇ってくれたばっかりに」
先程まで、アーシアに説明しながら同行中かつ案内を頼まれた正式な執事と共に、先頭を行っていたリアスが、ゼノヴィアの下に来て謝罪して来た。
「あっ、いや、そう言うつもりで言ってたわけじゃないんだが・・・」
リアスの謝罪から、空気は重くは無かったが、空気を悪くしていた事に気付くゼノヴィア。
「私こそすまない、部長」
「ううん、いいのよ。今日はお互いに、最愛の人が近くに居ないけれど楽しみましょう?」
ああ、と頷き、気分を変えて足取りを無理矢理軽くさせながら、表情を明るくしようと努めるゼノヴィア。
こうして、リアス達は帰宅まで、それぞれ大いに楽しんだらしい。
「ひぃいいい!皆さぁあああんん!置いてかないで下さぁあああいいい!!」
人ごみの中
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