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鎧虫戦記-バグレイダース-
第34話 吹き矢でバタッとすぐに倒れたらそれは命の危機
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葉隠は“苦無(クナイ)”を持つ左腕を
思いっ切り横に振りかぶった。

「‥‥‥‥喰らえ」

葉隠が“苦無(クナイ)”を投げようとした。
その瞬間、アスラは右腕を振りかぶりながら叫んだ。

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁああああああああッッ!!!」

 ギュンッ!

そして、さっき気付かれないように拾っていた“苦無(クナイ)”を
渾身の力を込めて投げつけた。運よく葉隠の方向に上手く飛んでくれた。
しかも力任せな分、回転は荒いがスピード、威力共に申し分ない。
確実に防御、もしくは回避せざるを得ないだろう。

「チッ‥‥‥!」

 ガキィンッ!

葉隠は投げようとした左腕で勢いをつけたまま
アスラの投げた“苦無(クナイ)”を弾き落とした。
そのせいで回転が遅くなってしまっていた。
これは一回着地せざるを得ないだろう。

『やった!ギリギリ防げた‥‥‥』

 ブシュウゥッ! 

しかし、代わりに右足が再び使い物にならなくなった。
投げつける際に全身に力を入れていたので
右足の再生は始めからやり直し、いや
それ以上ひどい状態からの再スタートである。

 ズザッ!

葉隠はあの不安定な体勢の中、綺麗に着地した。

「チッ、なかなかやるじゃねぇか‥‥‥」

彼はしゃがんだまま右側を見た。
依然、ホークアイが銃口を向けたままでいる。
その足元では俺が右腕だけを換装している。
次に立ち上がりながら左を見た。
アスラが右足を押さえたまま跪いている。
しかし、その目は未だに闘気で溢れている。

「ここはいったん退く!」

 ピンッ! ボシュウゥゥゥゥゥッ!!

葉隠は懐から取り出した丸い物体を
地面に叩き付けると同時に白煙が広がった。
しばらく何一つ見えなかったが
煙が晴れると、いつの間にか葉隠は姿を消していた。

「アイツ‥‥‥‥逃げやがったのか?」

アスラは右足を引きずりながら
俺とホークアイの所に寄って来た。

「一旦体勢を立て直すって奴だな」
「多分、すぐ来るはずだ」

出来れば、俺も戦いに参戦したいが
あいにくこの状態なのでとても無理だ。
今この戦いは二人にゆだねる事しかできない。

「見てただろうけど足がやられちまったから
 オレも少しの間、戦えないかもしれない」

アスラは右足を押さえたまま言った。
右手の指の隙間からは血が流れ出ている。
再生力が高くても、すぐには治らない。
こういう時にそれは歯がゆいものだ。

「ところで、マリちゃん達は大丈夫なのか?」

アスラは地面に倒れ込んで寝ている三人を
心配そうに見ながら言った。

「毒‥‥‥じゃなさそうだ。苦しそうには見えないし」


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