第十五話
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前に俺と握手したときの姿であった。すでにロアとして戦う準備は万端、ということだろうか。
「……それが、貴女のロアとしての姿なんですね?」
「厳密には違うんだけどね。あたしは夢によって姿を変える存在だから」
「じゃあ、なんでその姿に?」
「コレの物語になった時に子の姿だった影響か、ロアモードになるとこの姿になっちゃうのよ」
なるほど、つまり俺があの時に契約をしたからテンはこのナイスバディな姿になっている、と。ナイスだぞかつての俺。普段のテンも最高だが、こっちのテンもまた最高だ。
「でも、この感じだと‥…カミナ君も例にもれず、『自らの百鬼を使役する』っていうのが能力なのですか?」
「ま、あたしもつい昨日知ったばかりなんだけどね。ついでに言うと、コイツが使えるのはそれだけじゃないっぽい」
「ワオ……それはすごいです、ね!」
ティアがそう言いながら手をあげると、公園にいた猫という猫が一斉に襲い掛かってくる。って、猫!?
「魔女の使い魔として、猫っていうのはこれ以上ないくらいマッチすることでしょ?何を驚いてるのよ」
「いやまあ、確かにテンの言うとおりだけどな?この数が相手じゃ……」
「それこそ、必要ない考えよ」
テンはそう言って手を挙げ、呟く。
「夢予告」
次の瞬間、全ての猫が銃弾に貫かれて死んだ。驚いて周りを見回すと、俺達を囲んでいた猫のさらに外側に、銃を構えた人間が囲むように立っている。とはいえ、それも俺が認識してすぐに消えてしまったが。
「正夢造りの通常技。噂には聞いていましたが、ここまでとは思っていませんでした」
「ま、これくらいはね。むしろ、この程度で驚いてちゃキリがないわよ?」
俺達を包囲していた使い魔を一瞬で片づけたというのに、テンはさも当然のことであるかのようにそう言う。それがはったりであるのか、それとも本気でそう言っているのか……その疑問は、次の瞬間に解決した。
ティアが手を突き出し、そこから明らかに怪しい黒い霧を出していると……テンが再び、呟く。
「死夢」
たった一言。何の感情も込めずに呟かれた、初めて聞く言葉。一体何が起こるのかと身構えていると……変化が起きているものが、一つだけ見つかる。ティアの様子が、表情まで含めてすべてが一転した。
ついさっきまで出てきていた黒い霧は、もう一切出てきていない。手は上げられたまま、それどころか全身の全てが固まったまま動く気配を見せていない。表情も驚愕に染まったまま、目を見開いた形で固まっている。
「ティ、ティア?」
「…………………」
「無駄よ。今ティアは、ああして固まってることしかできないから」
何も答えず、本当にずっとそのままでいる
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