第十五話
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」
「そう言ってくれると、うれしい限りだよ」
「そうですか。けど……ここまで知られてしまったら、このままにするわけにも」
「ま、そうだよなぁ」
そう俺が呟いた瞬間に、体のだるさが増大する。体の重さはより一層強くなり、意識はもうろうとしてくる。小さかった頃、インフルエンザで寝込んだ時にも似たような症状に見舞われて、『ああ、死にそう……』とか思ったけど、あんなの比べ物にもならない。
黒死病ってのが本来どんな症状が出るのかは知らない。だがそれでも、これなら確かに人類の多くを滅ぼすことが出来るだろうと思う、それくらいの辛さ。魂にまで染み入ってきそうな、死の気配。
あぁ、ここまで……
「……やっぱり俺、ティアのこと大好きだよ」
「……ここまで、したのに?」
「それでも、だ。ティアにどんな考えがあったのかも、何かを演じてたのかも、本当に何もわからないけど……」
ここまで、死を身近に感じたのは……
「それでも、何も変わらない」
「っ……」
死を身近に感じたのは、テンの時以来だ。
何かに耐えるようなティアの顔を見ながら、なんだか呑気にそんなことを思っていたら……その瞬間、夢を見た。
広がる光景は、今俺とティアがいる公園。少し上からの視点なのか、地面に倒れる俺とそれを見下ろすティアがはっきりと見える。
何が起こっているのかと、そんな分かりきっていることを考えていると……ちょうどそこででかい石が飛んできて、俺の頭をトマトのように潰した。
……今見た光景に若干の悪意を感じつつ。
もう動かないと思っていた体に全力を注ぎ込んで、動けと命令して、一回転分だけ横に転がる。その一瞬後には、想像通りでかい石が頭があった位置に落ちてくる。その勢いだけで間違いなく人の頭を潰せたであろうサイズの。人間って、死ぬと思えば動けるもんだよな。
んで、流れとしてはここで……
「全く……夢と違うことをするなよな、ってね」
「違うことさせる気満々なのに、それはどうなんだよ……」
なお、俺はあれを避けた後に『このまま倒れて動けないままでいたら車に引かれて死ぬ』という夢を見せられた。なので、立ち上がって動く。詳しくは知らないけど、テンの物語が『回避できる』というものであるからできるようになったんだと思う。まだ体はだるいままだけど、動けるようになってしまった。
今更だけど、テンってすげえなぁ……。
「さて、どう?動ける?」
「体が超だるいし、今すぐにでも倒れたい衝動に駆られるが……おかげさまで、何とか動けるよ」
「そう、それはよかったわ」
まだ軽くふらつく俺の隣まで歩いてくると、テンは軽く肩を叩いてくれる。それだけでも体に力が湧いてくるようだった。
そんな頼もしい俺の物語を見ると、それは
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