第十五話
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ですから」
「あー、そのあたりまだ全然わからないんだが……やっぱりすごい存在なのか、俺?」
「はい、かなり。元々カミナ君の性格から素質があるとは思っていましたけど、まさか本当に『百鬼夜行』の主人公になるなんて。ふと電話をかけてそう聞いたときは、思わず固まってしまいました」
「あれについてはあそこまで反応された俺も驚いたんだけどな」
「一切警戒していなかった『お友達役』に選んだ人が、まさかの大出世で……私としてはあまり長い出来なくなってしまいました。いつ正体がばれてしまうか分からなくなりましたし……何より、私ほどの『破滅の物語』、『主人公』のロアたちに知られてしまえば、すぐにでもたくさん来てしまいますから」
この間、テンにも教えてもらった。『ペストの魔女が実行する物語とは、疫病によって死人を大量に出すことである』、と。『その被害が……崩壊が街単位で済むかはわからない』、と。確かに、主人公が相手するには十分すぎる物語である。
……俺みたいな駆け出しのよわよわ主人公が相手するには強すぎるんだけど。ということで、俺はポケットの中でDフォンをいじろうとするのだが……一気に体中の力が抜けてしまう。指すら動かず、立っていることもできなくなって前のめりに倒れた。
「これ、は……」
「あ、今更だけどごめんね、カミナ君。実はさっき病原菌はカミナ君の体の中に入れたから、しっかりと効果を出すまで待ってたんです」
それで、話を引き延ばしていたのか。いまさらになってそれを悟った俺は、いつ病原菌を俺の体内に入れたのかを考える。ロアとしての能力なんだからペストという病気そのものの特性とは違うものがあるのかもしれない。チャンスがあるとすれば……さっき、俺の口の中にティアの指が入った時だろうか。ティアの血が俺の体に落ちた時かもしれない。つまり、チャンスはいくらでもあったというわけだ。
ふと、視線の先に自分の腕が見えた。そこを見ると、なんだか黒い斑点ができている。斑模様のように腕中にできていて、黒く消えているみたいだ。それが今朝の夢とかぶった。まさか、この光景だったのだろうか。
「それじゃあ……すこし、お話でもしましょうか」
「このタイミングで、お話なんだな……」
「はい。私、毎朝のカミナ君とのお話はとても楽しかったんですよ?」
そう言ってもらえると、俺としてもうれしいことこの上ない。幸いにも下はちゃんと動くようだし、お話しするとしよう。スカートが汚れることも気にしないで目の前に座ったティアを見て、そう思う。
「それにしても、あれだけ警戒してたのに今すぐ殺す、とかはしないんだな?」
「あー、えっと、それは、ですね……さっきも言ったように、楽しかったので。そんな風に失われてしまうのは、ちょっと」
その言葉を聞いて、そしてちょ
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