第十五話
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にドキドキして、そして……
バチッッ!!
「っ!!」
「痛っ!?」
突然、俺の脚のティアの手がある辺りからそんな音とともに痛みが走った。
その衝撃は、あそこまで気が抜けきっていた俺が我に返ったほどだ。
「って、ティアは大丈」
「あー……やっぱり、そうですよね」
ティアの手にも何かあったのではないかと思い声をかけようとしたが、それは途中で止まってしまう。ティアの表情からはさっきまでの様子は消え、雰囲気もまた消えている……いや、これまでに見たこともないようなものになっていたのだ。普段、いつでも感じられた優しさのようなものは消えて……どこか、人のことを虫でも見るかのような無感情さに満ちている。
そんな様子に呆然として固まってしまっている俺をよそに、ティアは俺から体を離すと立ち上がり、少し離れた位置で俺の真正面に立った。結果、俺を見下ろす形になる。そこで今更、ティアの手から血がながれていることに気付く。おそらく俺のジャージにもついているのだろうが、それを確認することはできない。ティアから視線を逸らすことが、できない。
「プロテクトは万全、ということですよね……惜しかったです。カミナ君だけなら、あのまま終わってたかもしれないのに」
「…………」
ティアが言っていることに反応することが出来ない俺は、彼女が視線を向けている先に手を動かす。その先にあるのは、俺の脚で……いや、そうじゃない。彼女が見ているのは俺のポケットの中にある……
「熱くなってる、なぁ……」
「あそこまで反応してたのに熱くならなかったら、故障ですよ」
Dフォンに触れた俺にそう言ったティアは、いまだに血の流れている手をぺろっとなめる。たったそれだけのことで、止まりそうになかった出血が止まった。もう、何が何だか、なんだが……一つだけ確かなことが、ある。
「つまり、ティアはこっち側の関係者なんだな?」
「はい、そうなりますね。というより……カミナ君とテンさんが最近探ってた魔女って私のことだったり」
いや、確かにこれも物語の中では定番すぎるほどに定番な流れだけど……主人公ってのはここまで定番に出会ってしまうものなのか。
「それじゃあ、改めまして。『黒死斑の魔女・ケオプスミ』っていう魔女なんだ、私」
「ペスト、じゃないんだな」
「それは略称みたいなものですね。一々ケオプスミというのは大変ですし」
確かに、なんだか噛んでしまいそうな名前だよな。なんでそんな名前なのかがすごく気になるのだが、それについて聞く余裕はなさそうだ。
「それにしても……驚きましたよ、私。もっとゆっくり、それこそ数十年単位でゆっくりと今を過ごそうと思っていたところにカミナ君から『百鬼夜行』の主人公になったって聞いたん
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