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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第十五話
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が漏れてしまうほど、俺は驚いた。というか、混乱していた。
 えい、という可愛らしい一言と共に肩に生まれた重み。ティアの方を見るも、角度の都合で俺からはティアの顔を見ることはできない。だが、その耳が赤くなっているのは見ることが出来た。

「えっと、ティアさ」
「ねえ、カミナ君。何か思うとことはないの?」

 今度は、おそらく意図的にかぶせたのだろう。ティアは俺の問いかけを気にすることなく、顔をあげて俺の目をまっすぐに見る。少しうるんだ瞳で見上げられた俺は、ティアの顔がとても色っぽく、艶やかに見えてしまいどうしようもなくなりそうだ。彼女の持つ独特の儚さもあいまって、俺はその顔に見とれてしまう。しかしその時間も短く、再び肩に載せられた。

「毎日学校で朝に話したりする、仲のいいクラスメイト。そんな間柄であっても、年頃の男女が誰もいない公園で二人きり……」

 意識してしまったらどうなるのか、という思いで目を逸らしていたことを指摘されて、俺の体温が一気に上昇する。この状況にこんな偶然で、意識しないはずがない。

「好きな人がいて、その人とはだいぶタイプが違っても……ベクトルが違っても、美少女と二人きりなんですから」

 確かに、俺の好きな人は亜沙先輩であるし、ティアと亜沙先輩は全く違うといってもいいくらい美少女の方向性が違う。だが、それとティアが好みのタイプであるかというのは別の問題だ。事実、俺はティアのような女の子も好きなのだから。それこそ、出会う順番が違っていれば、亜沙先輩に惚れる前にティアと出会っていたら、全く違う今があったであろうくらいには。

「ねぇ、カミナ君……」

 この短い時間で、彼女に何度名前を呼ばれたことだろうか。つやを含んだ声で何度も呼ばれ、今にも脳が溶けてしまいそうなほどに思う。ティアは俺の肩に乗りっぱなしであった頭をどかしたと思うと、少し体をひねって俺の胸のあたりから俺の顔を覗き込んでくる。
 それだけではとどまらず、ティアはポカンとして少し開いてしまっている俺の上唇に指をあて、そこからツーっ、とおろしていって唇から顎までをなぞり、首を通って俺の胸をジャージの上からなぞった。ただその動きだけでも不快ではない、ぞわぞわっとした感覚を味わったのに、途中ティアの指は少し開いた俺の口の中にも少しだけ入っている。そのこともあってなおさらドキドキしてしまう中、ティアの手はさらに下って俺の太ももの上に。
 そうして置かれた手に少しだけ力が加わりながら、ティアの顔はだんだんと俺の顔に近づいてくる。俺はもうすでに骨抜きにでもされてしまっているのか、何の抵抗もできない。そのままティアの顔が近づいてくるのを見て、同時に太ももに添えられた手も外側に動くのでぞわぞわとさせられ、距離の関係で俺の胸に押し付けられた胸がつぶれる感覚
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