蒼天に染めず染まらず黒の意志
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」
宣言を一つ。覇王と同じ道筋を望む彼は、壊してからしか作りなおせない。皆に手を取らせる為の優しい確率は……彼が隣の儚げな少女と共に戦うことを選ぶ事象でしか起こり得ない。
「それについては後でお茶でも飲みながらで如何でしょう、陛下?」
たおやかな声が場によく響いた。
皇帝の仮面が外れかけ、少し不快な感情を出していた劉協の耳に届く。
月が何も傷ついていないことに驚いた彼女は、少しだけ眉を顰めて口を開いた。
「……“もしも”じゃ……“もしも”そなたが……いや、黒麒麟が劉備よりも先に月と出会っておったなら……どうした?」
苦悶の声だった。
自分を救おうとしてくれた彼女に、せめて何か救いは無かったのかと。
もしもの話は後悔のカタチ。黒麒麟が月を絶望の底で救ったのは知っていても、何か他にもなかったのか、と。
「……初めからこの子に出会って仕えていたのなら、例え敵がこの世界の全てであっても抗ったでしょう。そしてこの子と出会った上で私が覇王や袁家以外の有能な主の元に居たのなら、己が主を董卓軍に付かせて覇王を打倒する事を上奏したでしょう。それ程の価値がこの子には有り、そして……覇王曹孟徳を従えるという事はどの勢力にとっても何より優先すべき力であり、私が思い描く世界を必ずや作れるが故に。
これは妄想、妄言に過ぎません。事実は今この時こそが全てです……が、その時の内部状況にもよりますけれども、“董卓と出会った徐公明”は覇王と出会いさえしなければ、必ずや覇王の打倒を選び、董卓が作る世を望むでしょう」
月と出会ってから仕えるのが華琳以外なら、漢の復興を選んでも良かった。覇王の元に居ない場合は、彼は覇王を従える事に重きを置いて動こうとするだろう。この世界で一番恐れ、憧れ、追い駆ける覇王を打倒し従えることこそ真っ先に選ぶのが、未来を知っている彼の筋道。
月が持つ王の器は広い。それこそ、この世界に於いて上が居るとすれば華琳くらいだと秋斗は考えている。だからこそ、曹操という強大な敵を倒して自身が仕える王の力を示させたい彼は、月と出会ってしまえば従うことを選んでしまう。
覇道を突き進む覇王を従える事が出来るなら、そのモノが作る世界は華琳と秋斗が望む世界にしか成り得ない。それほど二人の想いは強すぎて、出来ない場合は二人を殺すしかなくなる。
月にはその器がある事は誰でも分かる。受け入れる王である月ならば、彼や華琳の思想の受け皿には成り得るのだ。
連合で董卓が勝つということは頂点に月が来るということ。秋斗はそれでもいいと思っているし、華琳にしても、敗北して月の成長の手助けをさせられる状態に陥ったならその地位を呑み込み、月を支えることを選ぶだろう。
もう一つ、歴史を変えかねない程の才能を持つ曹操という人
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