始動
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『農業?』
「そう、農業だ」
極東支部の支部長室にて第一部隊隊長隊長のコウタ、クレイドルのリンドウ、そしてブラッドの隊長ホワイトと副隊長のジュリウスが、支部長である榊博士と研究者でもあるソーマから召集されたと思えば、聞き慣れない事を言われていた。
「農業って、土掘って、草植えて……っていう、アレ?」
「草じゃねぇ、作物だ」
コウタの間違いを訂正するソーマ。
榊博士は頷きながら話を進める。
「今は工場でオラクル由来の技術により生産している農作物だが、終末捕喰が完全に止まってはいない以上、いずれ聖域は何百、何千という歳月をかけて広がっていく可能性がある。この聖域ではあらゆるオラクル細胞の活動が停止するため、現行のオラクルの技術を使った作物は育たないかも知れない。だから聖域でかつての農業技術を復活させ、今から後の子孫のために備えを進める。そういう意図なんだ」
「だがアラガミも近づけない聖域とはいえ、アナグラの外だからな。まともに動力は使えない、それにもしもの事を考えると非戦闘員は、って意見が出たから、まずは神機使いと技術班で下地を整える事になった。誰か、この話に乗ってみる気はないか?」
「いやー、でもさー、俺たち神機使いだし……。食べるのは得意だけど、作るのはなぁ……」
「うーん、面白そうなんだがウチはなにぶん人手不足でな」
コウタは困ったように、リンドウは関心を引かれながらもクレイドルの活動と人員を鑑みて難しいと判断する。
「ブラッドの方も戦いならともかく、こういうのは……」
ホワイトも無理だろうと口にし言い終わる前に、隣から被せるように声が上がった。
「農業、ですか……」
「農業、だね」
「ジュリウス?」
ホワイトが隣にいるジュリウスを見ると、ジュリウスは何かを考えているように首を下げていたが、次に顔を上げた時
「……やってみましょう」
「はあっ!?ちょっと、ジュリウス!何言って……」
「ブラッドとしての通常業務に加えて、ほぼ断絶していた農業技術を少ない資料を参考に一から暗中模索していく作業になる。これを取り入れるのは大変だと思うけど、大丈夫かい?」
「未来への備えとして、今出来る事をする。これも立派な任務です」
「おぉ……!」
ジュリウスの混じりっ気の無い本気な発言にコウタは感嘆の声を漏らす。
ジュリウスはホワイトに顔を向け言葉を重ねた。
「……勿論、うちの隊長の賛同が得られればの話ですが」
「……ッ!」
ジュリウスの顔にはホワイトへの信頼がありありと浮かんでいる。
果たしてこの期待を無視して断れるだろうが?いや、無理である。
「……ああもう!ジュリウスがそう言うなら、仕方ないわね。シエ
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