二節・少年は思い出し、また躓く
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行き、少女を寝袋から二人係で出して、その場を男に任せて少年は去る事にした。
……尤も、まだ不安は残る。男が欺いている可能性も、無くは無いからだ。
が、誰に見つけられるでもない迷宮区で、解りやすい善行や独り言を実行する筈が無いと信じ、少年は今度こそ、その場を去ったのである。
喋り方、容姿、何もかもが奇妙なプレイヤーなだけに、頭を悩ませてもこれは仕方無い。
すると、そんな彼の背後から、低い位置より声が掛かる。
「あの刺青半裸のプレイヤーだロ? キー坊」
「うおっ? ……ああ、アルゴか。まあそうだな……刺青半裸としか言えないんだけど……」
「アイツはオイラもチッとばかし気になってるのサ。何せβ時代には無い特殊アイテムの類かもしれないからナ」
「確かに……ほぼ半裸で前線に立つ訳無いよな。だとすれば、マジックアイテムの類を装備していると見るのが正しいのか」
「十中八九、ナ」
アルゴと呼ばれた女性であろうプレイヤーに、キー坊(本名今のところ不)とあだ名で呼ばれた少年プレイヤーは、知人なのか背後からの声かけにも、特に気にすること無く応対している。
刺青を入れた半裸状態のプレイヤー―――間違っても下半身裸の方の半裸では無かろうし、もしそうであるなら彼等はこんな風に話したりはしない事確実だ。
「アイツの情報、知りたいカ? とはいってもあんまり集まって無いけどナ。半裸や入れ墨を除けば、精々喋りが奇妙だってノト、槍使いだってことぐらいダ」
「ああ、それなら俺も知ってる……っと、そろそろ時間がヤバいな。先に行くぜ」
「はいヨ、そんじゃオイラは後でちょいと顔を出しに行くヨ」
用事があるのかアルゴに一旦ながら別れを告げて、キー坊(仮称)はとある場所へとせかせか脚を進めて行く。
彼の向かう先はこの《トールバーナ》の噴水広場。
一か月かかりようやく最上階に到達した事を期に、もうすぐボス戦間近だろうからか、そこで開かれる攻略会議に参加するべく、急いているのだ。
もう既に四十人近くが円形の広場の段上に腰掛けており、会議の始まりを今か今かと待っている。
ベータテスタと言う素性故、そして元々のコミュ障故、キー坊(仮称)はかなり後方へと陣取った。……ふと視線を傾ければ、赤いフードを被ったあの時の女性プレイヤーが、自身と同じく後方へ座っているのが目に入る。
それを確認し、やっぱりあの男性プレイヤーは見た目が胡散臭いだけだったのだと、少年は胸に手を当て安堵した。
そして視線を戻してほんちょっと、先と別方向に逸らして―――ズッコケかける。
(ま、また居たぁ!?)
キー坊(仮称)や女性プレイヤーより更に後方、そしてギリギリ噴水広場内に位
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