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大刃少女と禍風の槍
二節・少年は思い出し、また躓く
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思えない。


 つまり男のプレイヤーが行っているのは―――と思考が飛び掛けて、そこでまた思いとどまる。


 現実でも出来てしまう事もこのSAOのゲーム内の世界では実行できず、しかもそういった犯罪を行いたいのなら安全地帯へ連れ込めばいいし、アイテム目当てならそもそも引きずる必要が無い。

 男はかなり必死に引きずっており、彼が向かう方向はどうやら迷宮区出入り口。

 そうなるとパーティーメンバーが回復不能な状態異常にかかり、だから引きずっているのかもしれないと推測できるが、なら尚更完治するまで安全地帯に居た方が良い。


 謎しか生まない男の行動だが、どうも彼女を害するつもりではない様なので、しかし念の為もあり想念は男へと近づいて行った。


「なあ、あんた」
「ん? おお、どうしたにーちゃん? あ……あ〜、言っとくがこりゃ犯罪じゃあないやな。途中でぶっ倒れっちまったんだが……ちょいと複雑な事情があってな? なんとか迷宮区外まで、連れてかないと行けんのよ」
「その事情ってのは?」
「何でもこいつ死にたがりでな。ほっとくと、ヤバい方の自己満足で死んじまいそうなんだわな」


 別段隠す気も無かったか、男は少女と出会った経緯を少年へ話して聞かせた。

 曰く彼女は聞き迫る様子で、レイピアのストックと数少ないポーションのみを手に、恐らく数日間も危なっかしい戦闘を行っていたとの事。

 確かの長期間無茶な戦闘を続ければ、ゲーム内で気絶してしまう可能性はあるし、余りにも謎の男の行動の理由とするなら、それ以外特に思いつかないのも事実。


 だが少女がモンスターや人身の件で危ない事に変わりは無いし、よしんば男に下心が無くともそれはそれで彼が危ない。


 そこで少年は、とある手段を講じ、彼に伝えるべく口を開いた。


「あんた、シュラフとかの、寝袋アイテム持ってるか?」
「いんや全く」
「……そ、そうか」


 あっさり無所持であることを明かし、仕方なしに少年は自分の分をオブジェクト化させて、少女を寝袋で包む。

 そして引っ張ってみる様男に促すと、先程よりも足取りが軽くなっているのが分かった。


「おお!? なんだいこりゃ凄いな! さっきまでよか全然軽いわな!」
「まあ、ちょっとした裏技って奴だ。……それよりも―――」
「オレちゃんが引っ張っている間無防備なのが気にかかるやね……ちゅーことでだにーちゃん、袖触れ合うも多生の縁だ。護衛頼んで良いかい?」
「あ、ああ……わかった」


 この言葉で男が本当に少女を心配しているのが分かり、これは本当に無駄な警戒だったと、少年は此方こそ乗りかかった船だと迷宮区の外まで護衛。

 フィールドにも存在する安全地帯まで運んで
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