二節・少年は思い出し、また躓く
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、デスゲームと言う絶望の中での屈託ない笑顔。
それらを踏まえて、ちょっとばかし奇妙な娘だなぁと、少年はその背を見ながら思ったという。
……が、もっと奇妙な人物に出会うこととなろうとは、この時少年は予期すらしていなかった。
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「奇妙な奴だったなぁ……何だったんだ?」
そして、あの時から数日後。
件の黒髪で何処か女顔の少年が頭頂部をポリポリ掻きながら、《トールバーナ》と言う街の大通りを歩いていた。
前に出会った少女以上に、何やらおかしなプレイヤーでも見た様で、幾度も幾度も首を傾げては、上へと向けて溜息を吐いている。
……いや、見た様なではなく、彼は本当に見た―――と言うよりも出会ったのだ。
彼の頭を悩ませているその奇妙な奴と出会ったのは、今日の先刻昼ごろ。迷宮区へと足を運んだ彼は、マッピングしながら先へと進み、途中妨害にPOPするコボルドを倒し、ソロプレイヤーながら順調に攻略を進めていた。
あたりのモンスターは枯渇し、まだリポップするまでは時間があると、彼がアイテムの整理をしていた……その時だった。
耳に、何かを引きずる様な、まずダンジョン内では有り得ない音が、確かに聞こえてきたのだ。
不審に思って発生源まで歩を進め、少し離れた位置から確認しようとして……少年は思わず立ち止まった。
「ぬうぅぅっ! ……はぁ、大変てもんじゃなわなこりゃ。このままじゃあ日が暮れっちまうよ」
通常、迷宮区へと足を踏み入れるプレイヤーは、例外無くガッチリと鎧軽装備で固めるか、質の良い金属装備を付けるかで、高レベルモンスターの出没する地帯なのだからそれが当然とも言えた。
だが目の前の、背の高い男性プレイヤーは何と『半裸』。正しく表すならば、細い布系の軽装備を一本付けているので、“ほぼ” 半裸だと言うべきか。
そして次に目を引くのが刺青。マジックアイテムの類か、それとも単なるデカールかは、β時代を経験した彼にも分からないのだが、問題はその刺青が腕だけやら顔だけやらでは無く、それこそ “体中” にビッシリと入っているのだ。
これを見て驚かないのなら、そいつは相当胆力のある人間だろう。少年が脚を止めてしまったのもうなずける。
次に、男が引きずって来ているのであろう物が、少年の目に入ってきた。
(プレイヤーか……しかも女!?)
その物体はプレイヤー、しかも前線ではかなり珍しい『女性プレイヤー』だったのだ。フードケープを被って性別を誤魔化していたようだが、少年の角度からは顔がモロバレで、その線の細さと造型からどう見方を変えても女としか
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