第五十一話 二人の伯爵その十三
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「何かしらね」
「文明が嫌いってな」
それはとだ、薊は首を傾げさせて言った。
「野蛮人か?」
「そう思う?薊ちゃんは」
「ああ、何かな」
「まあ何でも無下に邪険にする人はね」
「野蛮じゃね?」
「おかしいわよね」
こう言うのだった。
「やっぱり」
「何でも買ってはいけないとか言ってもな」
「そういうものね」
「あたし思うんだけれどな」
「思うって?」
「昔歯磨き粉付けないで磨く歯磨きって聞いたけれど」
「塩で磨くの?」
裕香はその話を聞いて昔ながらの歯磨きの仕方を連想した。
「それか砂で?」
「大昔砂で歯磨きしてたらしいな」
「卑弥呼の時代とかはね」
そうした説がある。
「そういうの?」
「いや、そういうの一切使わないでな」
「歯ブラシだけで」
「磨くってな」
「それじゃああまり」
「だろ?おかしな主張だろ」
「何でそういうこと言うのかしら」
裕香だけでなく他の少女達も首を傾げさせる話だった、歯磨き粉を付けて歯を磨くことは常識だと思うからだ。
「さもないとよく磨けないし」
「歯磨き粉で奇麗にもならないよな」
「おかしなことね」
「何かそういうこと言う人もいるんだよ」
「そうなの」
「横須賀の街でもいるんだよ」
薊はここでも自分の育った街のことを話した。
「アメリカ軍の基地反対とか戦争反対とか言ってる」
「ああした人達ね」
「ああした人達がさ」
「そんなこと言うのね」
「電子レンジだのこうした食いものだの嫌ってな」
所謂プロ市民という人種である、この人種の特徴は物質文明、科学文明そして企業というものを嫌うことである。
「それでそういうことも言ってな」
「おかしいわね」
「だろ?あたしその話聞いてへっ、ってなったよ」
つまりおかしいと思ったというのだ。
「幾ら何でもな」
「そうよね、変なことよね」
「世の中おかしなこと言う人いるよ」
そうしたプロ市民の主張は検証していくと何の根拠もない空想ごとであることが多いというがだ。薊も言うのだった。
「本当に」
「横須賀って色々な人出るのね」
「右翼も出るしな」
「あの横須賀中央の駅前に」
「休日は絶対に出るんだよな」
それこそなのだ。
「それで自己主張するんだよ」
「横須賀名物の一つなのね」
「自衛官の人とアメちゃんはいいとしてな」
こうした真面目な人達はというのだ。
「後のプロ市民と右翼と暴走族はな」
「有り難くない名物ね」
「なんだよな、まあここで言っても仕方ないけれどさ」
「そうよね、じゃあ今はね」
「あと何食おうかな」
他の軽食系のメニューを見つつだ、薊は言った。
「次は」
「そうね、おうどんもいいし」
裕香もメニューを見つつ答えた。
「サンドイッ
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