第五十一話 二人の伯爵その十二
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「私にしてもね」
「愛着があってもか」
「そりゃ生まれ故郷だから愛着はあるけれど」
それでもだというのだ、その愛着以上にだ。
「不便過ぎて」
「戻りたくないんだな」
「そうなの、とにかくね」
また言った裕香だった。
「私は神戸にずっと住みたいわ」
「ううん、そうか」
「大阪でもいいわよ」
この街もとだ、裕香は微笑んで言った。
「好きよ、あの街も」
「暑くてもか」
「色々とあるから」
「都会っていいと思うわ」
裕香の主観での言葉だ、しかし裕香にとってその主観は絶対のことだった。そのことを話しながら遊んでいた。
そこでだ、一行は八条駅のターミナル内にあるスナックコーナーに入った。そこで焼きそばなりオムライスなりを食べるつもりだった。
実際に全員で色々なものを食べたり飲んだりした、薊は特大のオムライスを食べて冷やし飴を飲んでから言った。
「こうしたファーストフード食うのもな」
「美味しいわね」
「ああ、身体に悪いとか言う人多いけれどな」
それでもとだ、菖蒲に話すのだった。
「いいな」
「確かに化学調味料や合成着色料を使っているけれど」
「結局いつも食ってたら駄目なんだよな」
「そう、いつもでないとね」
菖蒲もこう言う。
「無闇にそうしたことを摂るなっていうのも」
「おかしな話だな」
「美味しいものは美味しい」
菖蒲はこうも言った。
「それでいいのよ」
「これだってね」
菊はメロンソーダを飲んでいる、綺麗なメロン色のそれをだ。
「合成着色料使ってるけれど」
「美味いよな」
「だからいつも飲まないといいのよ」
それで、というのだ。
「あくまでね」
「そうよね、そもそも身体に悪いことはわかってるのよ」
向日葵もやけにソースの色が濃い焼きそばを食べている、紅生姜と鰹節、青海苔の色もかなり強く出ている。
「それを食べるからには」
「常識として」
桜はカレーを食べている、こちらも普通のカレー屋のそれよりはチープな感じだ。
「弁えるべきで」
「その通りね、化学調味料は摂り過ぎないこと」
菫は食べていると少し頬のところが痺れるものを食べている。
「それが大事よ」
「買ってはいけない、食べてはいけない」
「そうしたことばかり言う人こそ」
鈴蘭と黒蘭の言うことはというと。
「精神的にね」
「おかしな感じだと思うわ」
「自然食ばかりにこだわってもな」
薊は冷やし飴の後はやけに明るい色彩のアイスクリームを食べている、裕香はその横でホットドッグを食べている。
「何かおかしいな」
「そうよね」
「こうしたものだってな」
ファーストフード、ジャンクフードと俗に言われているものでもというのだ。
「食い過ぎないとよくて」
「そもそも何でも食べ
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