第五十一話 二人の伯爵その九
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「探してくれるか」
「うん、僕達のツテでね」
「あと物陰とかからね」
「色々と見て回ってね」
「そしてだね」
「そうじゃ、頼むぞ」
こう妖怪達に言うのだった、見れば妖怪達もコーヒーとケーキを楽しんでいる。
「今回は」
「いえ、それはです」
あの秘書が出て来た、しかしその首は何メートルも伸びている。ろくろ首だ。
「危険かと」
「むっ、そういえばな」
「そうです、相手はです」
「カリオストロ伯爵はな」
「怪人を生み出していますから」
「若しその怪人を君達に向けるとな」
「非常に危険です」
博士の傍に顔をやって来ての言葉だった。
「私達は戦いは苦手なので」
「そうじゃな、今回は相手が悪い」
「そこが問題ですね」
「それならだ」
ここでだ、妖怪達の中にいる一人の青年が名乗りを挙げた。見れば彼だけは人間だ。
「俺が行く」
「君がか」
「ああ」
見れば背が高く引き締まった身体だ。顔立ちは鋭利な感じだ。
その彼がだ、壁に背をもたれかけせた姿勢で立っていてだ、博士に対して言ったのである。
「俺なら多少以上の相手でも大丈夫だからな」
「怪人でもじゃな」
「そう簡単にやられはしない」
鋭い目のままで言うのだった。
「訳のわからない神様共の相手よりましだろう」
「まあ君が過去に戦った連中よりもな」
それはとだ、博士も答える。
「弱い」
「なら安心だ」
「髑髏天使の力ならばじゃな」
「カリオストロ伯爵が何者かは知らない」
それでもというのだ。
「だが、だ」
「アザトースやヨグ=ソトホートも倒したからのう、君も」
「ナイアーラトホテップよりもましだな」
「確かに相手は不老不死で恐ろしいまでの知識の持ち主じゃがな」
博士ですらこう言うまでの、というのだ。
「しかしじゃ」
「それでもだな」
「確かに君が今まで戦ってきた連中よりましじゃ」
「そうだな、ではだ」
「行くのじゃな、君が」
「皆には休んでもらう」
彼は周りの妖怪達を目だけで見回してから言った。
「危険を犯す必要はない」
「ううん、牧村さんがそう言うのなら」
「それならね」
「僕達もね」
「頼めるかな」
「ここは」
「そうしてくれ、すぐに調べてだ」
そして、というのだ。
「戻って来る」
「頼むぞ」
「カリオストロ伯爵か、おそらくだが」
ここでだ、彼はその六感も使った。そうしてあることを察してそれから博士と妖怪達に対して言ったのだった。
「我が国にいるな」
「日本にな」
「それもだ」
「神戸か若しくはな」
「近くにいる」
即ち神戸近辺にというのだ。
「俺はそう思うがな」
「まあそれはそうじゃろうな」
博士も彼の言葉にそうだと返した。
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