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美しき異形達
第五十一話 二人の伯爵その五
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「面白いね、そう考えると」
「だよな、あたし達皆姉妹でな」
「遺伝子的にはどうかはわからないけれど」
 菖蒲も今は微笑んでこう言った。
「そうした関係かも知れないわね」
「そうだろ、あたし達ってな」
「ええ、何はともあれ」
「何は?」
「私達の願いは」 
 このことをだ、菖蒲はここで一旦確認したのだった。
「怪人達との戦いを終えて」
「それでな」
「普通の学園生活を送ることね」
「正直戦いで命のやり取りとかな」
 それこそどだ、薊も菖蒲の言葉に答えて言う。
「沢山だしな」
「そうそう、命賭けとか勘弁して欲しいわ」
 菊も実に嫌そうに語る。
「とてもね」
「やっぱり普通にな」
「学生として過ごしたいわよ」
「戦争とかも嫌だしな」
「戦争になったらそれどころじゃないにしても」
 日常生活を送れなくなることもというのだ、菊にしてもこのことはわかっているつもりだ。実際の戦争を知らないにしても。
「そうでもない。今みたいな状況だと」
「平和に暮らしたいよな」
「ええ、本当にね」
「だから怪人との戦いなんてな」
 それこそとだ、薊も言う。
「さっさと終わらせてな」
「そのうえで」
「この神戸で面白おかしく暮らしたいよ」
「私も修行しないといけないしね」
 向日葵が言うことはというと。
「お寺の奥さんになる為に」
「お寺のか」
「そう、将来はそのつもりだから」
「向日葵ちゃんやっぱりお寺の奥さんになるんだな」
「うん、お寺で育ってるし」
「お坊さんに嫁いでか」
 薊も幾分かしみじみとして語った、向日葵のその言葉を聞いて。
「将来決まってるんだな」
「決まってるっていうかね」
「自分でもか」
「そのつもりだから」
 だからだというのだ。
「そろそろね」
「お寺の奥さんになる為の修行したいんだな」
「勉強っていいかも知れないけれど」
「何はともあれか」
「そろそろね」
 将来に向けての、というのだ。向日葵は彼女なりに人生設計を考えていてそのうえで戦いについて考えているのだ。
「無闇な殺生とかはね」
「よくないよな、仏教的に」
「そのこともあるから」
「はい、私もです」
 桜も言うのだった。
「戦いではなく服に生きたいです」
「呉服か」
「呉服は素晴らしいです」
 家業でもあるそれを熱い目で語るのだった。
「将来は旦那様を迎え」
「それでお店をか」
「継ぎたいので」
「もうお店継ぐのは前提か」
「お父様とお母様、何よりもお祖父様とお祖母様に言われています」
 親達から直々にというのだ。
「そして妹達も」
「桜ちゃんがお店を継ぐってことでか」
「認めてくれています」
「もう将来に向けて決まってるんだな」
「ですから」
 その将来に向けてと
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