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正々堂々と
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第一章

                         正々堂々と
 赤壁の戦いの後でだ。劉備は動きはじめた。
 その己がいる荊州南部の平定にかかってだ。その一群である長沙にも兵を送った。
 それを率いるのは途方もない大柄で見事な髭を持つ男だった。赤い馬に乗り有り得ないまでに大きな刃を持つその男がだ。左右に控える二人に声をかけられていた。
「では義父上」
「今よりですな」
「うむ、長沙を攻める」
 その男関羽雲長がだ。右にいる白面の若者である養子関平と左にいる大柄な髭の男周倉に対して述べるのだった。
「これよりな」
「わかりました」
「では我等も」
「さて、その長沙だが」
 関羽自身が言うのだった。切れ長の見事な目であり顔は赤い。その赤さがその髭とあいまって非常に目立つ。貴相であった。
「太守は韓玄だったな」
「はい、小心で欲深い男です」
「たかが知れています」 
 関平と周倉が彼に答える。
「ですから攻めればです」
「何ともありません」
「そうか。ではこの戦いはすぐに終わるか」
「はい、そう思いますが」
「その男は造作もない男ですが」
 ここでだ。二人の言葉が変わってきた。
「あの場所には黄忠殿がおられます」
「御存知でしょうか」
「何度か会ったことがあったか」
 関羽は己の記憶を辿った。主であり義兄である劉備がこの荊州に身を寄せてからのことをだ。そのうえでこう二人に話すのだった。
「宴の時にだ」
「もう六十を超えておられますがかなりの武勇の方です」
「特に弓は」
「そうだったな。わしに匹敵するだけの腕だというな」
 こう聞いていたのだ。関羽もだ。
「手強い相手か」
「ですから義父上がここを攻めることになったのかと」
「この長沙に」
「それでか」
 関羽はまさに劉備にとって第一の将であった。その彼が向けられてるということはやはりかなりのことであるのだ。
 だからだった。彼等も軍を進めながら話すのだった。88
 長沙の城にはすぐに着いた。そこでまずは一戦交えた。
 その戦はあっさりと終わった。関羽の武勇と指揮によりだ。彼等の勝利に終わった。
 敵はすぐに城の中に逃げ込む。しかしであった。
 関羽は追おうとはしない。そうして関平と周倉に話す。
「これからだ」
「この戦いではなくですか」
「次なのですね」
「そうだ、次だ」
 その強い声での言葉だった。長沙の城のその黄色い壁を見ている。土と砂のせいですすけた色になっており寂れたものも見られる。
 その壁を見てだ。彼は言うのだった。
「その黄忠殿が出て来るぞ」
「我等が最初に出て来た兵を破ったことで、ですか」
「それで遂に」
「韓玄は出ぬ」
 関羽はこのことも確信していた。
「小心な男よ。それならばだ
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