第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
11話 微かな道標
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手近な小石を二つ拾い、投剣スキル二連技《ツインスワロー》を発動させる。水平に振り抜く所作で同時に放たれる礫は、それぞれエルフの後頭部を直撃。その一撃は、人と相違ない、いや、極めて端整な彼等の顔立ちを歪めるのには十分だった。
「貴様ァ!」
「背後から礫とは卑劣な!?」
怒声を撒き散らし、矛先をこちらに向けた森エルフ――――正確には《フォレストエルヴン・ソードマン》は装飾の施された片手剣を構えて間合いを急速に詰めてくる。しかし、事態は待ち構えるももどかしいほどに切迫しており、俺が先行しての接敵は定石通りに、相手から間合いに入らせるのではなく、こちらからも踏み込む。
「シィッ!」
「かはぁ!?」
初撃、《スラント》を構えたソードマンの脇に抜け、薄く開いた口腔から呼気を排出しつつ、がら空きの背に体術スキルの単発技《裏閃》を叩き込む。
右手で繰り出す裏拳は見事に肩甲骨を打ち据え、想定外の位置から放たれた攻撃に軸を崩す。しかし追撃はせず、隙を作るに留めて、さらに前進してもう一方のエルフに意識を切り替える。既に《バーチカル》を繰り出した形で、突進の加速力さえ相乗された一撃を前に、再び拳を握り、放つ。
「遅い!!」
「ぐッ、ぉ………!?」
同じく体術スキルである《昇閃》の左アッパーカットがソードマンの持ち手の甲を捉える。剣の加速度と拳の加速度が衝突するも、《武器の持ち手》という急所を突いた俺の左拳に軍配が上がる。手に疾った強烈な衝撃にエルフは短く呻き、剣はあらぬ方向へと吹き飛んでいった。
遠くへ舞う片手剣が宙に軌跡を描く最中、空いていた右手が《レイジハウル》の柄を掴み、抜刀と同時に繰り出した二連技《クロスライズ》がソードマンを深々と切り裂く。さらに《スラント》で追い撃ちを掛け、地に崩れたソードマンはついにポリゴン片となって消失する。
遅れて背後から聞こえた破裂音を皮切りに、更に進攻をせんとする矢先、既に俺達を脅威を判断した森エルフ、短剣を逆手に構える《フォレストエルヴン・スカウト》と鷹を携えた《フォレストエルヴン・ファルコナー》、他のエルフに比べて上等な装備を纏った《フォレストエルヴン・オフィサー》が立ちはだかる。だが、彼等は俺達目掛けて攻め込まずに、代わりにオフィサーが叫ぶ。
「総員、防御陣形! 守勢を厳にせよ!」
「「「おう!」」」
「よし! アンタたち、このまま武器を構えるだけで攻撃するなよ!」
将兵の持つ範囲支援効果、厳密には《指令》スキル防御上昇支援技能《ディフェンシブ・オーダー》によって、森エルフ及び鷹の頭上に盾と上方向を指す矢印のアイコンが出現し
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