第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
11話 微かな道標
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、耐久値の損耗が著しい。この手の検証は恐らくされてはいないだろうが、フィールドに放置された武器を始めとする《耐久値の設定されたアイテム》は時間経過とともにその耐久値を減らしてゆくのだが、装備品の耐久値はポーションや素材と比較すれば高く設定されており、多少の時間経過で大幅なダメージを被ることは考えづらい。それこそ、数週間や数ヶ月といった長期の時間を要するだろう。
しかし俺の記憶では、第三層主街区《ズムフト》の転移門が有効化されてから今日で二日。つまり、単純な時間経過による劣化は在り得ない。だとすれば、アニールブレードがこれほどまでに傷んだ原因として相応しいのは、実際の使用による消耗だろう。持ち主は、恐らくここで長時間に亘る戦闘を繰り広げ、結果としてここに武器を取り落した。ということだろうか。だとしたら、それでも腑に落ちない点がある。
長時間の戦闘、この状況において想定されるのは《強力なモンスターとの交戦》か《大量のモンスターとの交戦》が挙げられる。このエリアにおいては後者が有力であるが、それでも想定される数も多くて三から四といったところで、これほどの損耗は難しいだろう。逃走中に別のモンスターを引っ掛けたにせよ、それは立ち止まらない限り、逃走するプレイヤーとモンスターの列の後続に加わる形になるはずだ。敵の総数が増えても戦闘にはならない。すると、必然的に最悪の結果に目を向けなければならないのだが………
「それより、リンちゃん、ヒヨリちゃん、ちょいとマズい事になってるようだゼ?」
「………ど、どうしたの?」
「いや、オイラ達がじゃなくて、多分プレイヤーだナ。向こうでモンスターが挙って同じ方向に走ってル。ざっと見た感じで十匹はいるんじゃないカ?」
先のコボルド王との戦いで一時的とはいえ《両手槍》スキルを無理矢理に取得したことで、このPTで唯一の索敵スキル持ちであるアルゴだからこそ勘付けた非常事態だが、しかし、モンスターの数からして、俺達が助けに向かったところで状況が改善するとも思えない。エルフ系のモンスターであれば勝ち目自体はあるものの、このあたりでは出現しない上に、エルフ系であったとしても根本的に数で押し切られる可能性が高い。明らかに分が悪い。
突然のアルゴの発言に驚かされたヒヨリも、漠然とした情報ではあるが伝えられた別地点で起きた危機に焦りを感じているようだった。
「それって、誰かが襲われてるの!?」
「いや、さすがにそこまで詳しくは分からないケド………」
「………アルゴさん、あっちだよね?」
「え………、ちょッ!? ヒヨリちゃん!?」
突如として疾走を始めたヒヨリに、アルゴが声を張り上げる。
俺も内心で舌打ちをしながら追いかけるが、やはり根本的なビルドの差
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