閑話―斗詩―
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たと途中で気が付き、首根っこを掴んで廊下に放り出した――という顛末だったのだが、斗詩や猪々子はその事情を知らず。邪推するしかなかった。
「だからさぁ――、夜這いでも何でも――、そん時はアタイも――」
「……」
頭が真っ白になった斗詩には親友の言葉が届かない。断片的な言葉を聞きつつも、ほとんど聞き流してその日は眠りについた。
………
……
…
翌日、皆が寝静まった時間帯に斗詩は、袁紹の寝室の前まで来ていた。
「……」
先日の一件で気が気でない彼女は、衝動的にここまで来ていたが――
「な、なにしてるんだろう私」
扉に手を掛けようとして我に返り踵を返そうとした。
「む、斗詩ではないか」
「麗覇様!? 部屋の中に居なかったんですか?」
「うむ、鍛練のあと湯浴みでのんびりしすぎてな、こんな刻限になってしまったわ!」
「そ、そうだったんですか……」
しかし自室に戻ろうとした矢先、部屋の主と遭遇してしまった。
「我に何か用があるのだろう? 遠慮はいらぬ、部屋に入るが良い」
「……はい」
こうなってはもう戻れない。斗詩は覚悟を決めた。
「それで、どうしたのだ?」
こんな夜分遅くに会いに来たのだ。ただごとではあるまい。と、彼女の答えを促した袁紹だったが、その口からでた言葉は彼にとって予想外の物だった。
「夜伽に参りました!」
「うむ、そうか―――は?」
「え、えっと、お慕いしています!」
「順序が逆……、いや、言いたいのはそんなことでは」
「や、やっぱり迷惑ですよね。忘れてください!」
「っ!? 斗詩!」
二人してしきりに慌てていたが、斗詩が思わず出て行こうとすると袁紹は彼女を抱きしめた。
「れ、麗覇様?」
「斗詩、我も男だ。好いた女にそこまで言われて黙ってはいられぬぞ?」
「好いたって……、えええぇぇっっ!?」
抱きしめられたまま斗詩は声を出す。
「そんな素振りなかったじゃないですか……」
「斗詩は自分の魅力に疎すぎるな、どうかと思うぞ?」
「うっ、麗覇様に言われたくありません」
「む、そうか?」
「そうですよ」
少し砕けた会話に緊張が緩み体を預けてしまう。
「斗詩、先に言わせてしまって男としては情けないが……」
しっかりと彼女に目線を合わせて言葉を紡ぐ
「我も斗詩が好きだ。これからは家臣としてだけではなく、女性としても我と共にいてくれるか?」
「……」
思い人の熱のこもった告白に頬を上気させた斗詩は、惚ける思考の中、自分の答えを口にする。
「はい、私は今までも、そしてこれからも麗覇様の側に――」
そこまで言葉
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