閑話―斗詩―
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「そんなにわかりやすいですか?」
「姉者の次にな」
「……」
どこまでも姉を話題にあげる彼女に呆れつつ、自分の気持ちを整理してみる。
袁家次期当主である麗覇様、今の自分にとって一番身近な異性だ。
唯我独尊を地で行くようで他者を重んじる優しさ、忙しいにも関わらず鍛練を怠らない男らしさ、他者の失敗を豪快に笑って許せる寛容さ、悩みを持った者に的確な助言をする。父か兄を彷彿させる温かさ、彼の下についてそれほど時は経っていないものの、上げればきりが無いほどに主の良さが頭の中に流れた。
「……」
惚れるなと言う方が無理な話しである。容姿も相まって袁紹は人気が高い。しかし意外な事に浮ついた話しは聞かない。
それもそのはず、次期当主である袁紹は他の異性からしたら別世界の住人、憧れこそすれ関係を持とうとする者は居なかった。
そこに来ると斗詩はどうだろうか? 代々袁家に仕えて来て家柄的にも申し分ない。彼の側近という立場からも、異性の仲に発展するのは自然な事であった。
(でも、所詮私の横恋慕だし……)
いまいち自分に自信が持てず。顔を伏せてしまう。
「……袁紹殿は斗詩を好いていると思うぞ?」
「うぇっ!?」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、秋蘭さんはとんでもない発言をした。
「やはり気が付いていないのか……、彼は良く斗詩を目で追っているぞ」
「……」
自分でもそれには気が付いていた。しかしあくまで見守る様な視線であって、異性として好意を抱いた物だとは思えなかった。
………
……
…
それから長いようで短い時が流れ、麗覇様の膝元は賑やかになっていった。
桂花さんを始め、恋さん、ねねちゃん、星さん、風ちゃん、……気が付けば多種多様な魅力を持った人たちで彼の周りは囲まれていて、私は少し距離が開いたように感じてしまう。
そんなある日、文ちゃんが私の部屋を訪ねてきて――
「斗詩、真面目な話しがある」
「ぶ、文ちゃん? どうしたの急に――」
普段は見せない様な親友の表情に私は緊張して続きを聞く、すると――
「この間、麗覇様の寝室から星が肌着で出てきた」
「……嘘」
彼女の言葉に頭が真っ白になった。
「マジだって、アタイがこの目で見たんだからさ!」
「でも、星さんにそんな素振りは無かったじゃない!」
「いや、そうでもないぜぇ? この前なんか麗覇様の事を根掘り葉掘り聞かれたしさぁ」
「……」
実はただ袁紹の弱点を探っていただけである。しかし聞き込みでは有力な情報が得られず。
夜這いを装って動揺させようと実力行使にでたのだ。星の読み通り経験の無い袁紹は始め動揺したのだが、彼女がただからかいに来
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