閑話―斗詩―
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い。
そんな麗覇様に対して苦笑しながら続きを口に出す。
「私も初めての実戦で人を斬るのに躊躇していました。……私が前に出ていたら斬られていたかもしれませんね」
あの時の事を思い出す。終わったことなのにそれで肩が震えだした。
「優しい麗覇様のことだから、私と同じく葛藤していることはわかっていました。そしてそんな様子で戦っている姿をみて怖くなったんです。麗覇様が殺されるかもしれないことに……」
私は麗覇様のために、麗覇様は私のために、順序が違うだけで葛藤を捨てた理由は同じだった。
「でも、麗覇様は私が自己嫌悪する必要はないと思ったはずです。なら麗覇様もそうじゃないですか!」
「……」
つい語尾を荒げてしまう。だけど麗覇様は私の言葉をしっかり聞いてくれた。
その後、いつからいたのか文ちゃんも合流して、彼女の意見も交えて麗覇様に聞かせそして――
「ありがとう、二人とも」
「麗覇様……」
「へへっ」
そう礼を口にした私達の主は、いつものような笑顔に戻っていて私達二人を安心させた。
その後、三人で他愛も無い話しを、朝日が昇り始める頃まで語り続けた。
………
……
…
それからしばらくして、私達二人は麗覇様の私塾に付いて行く事となった。
そこでは色んな人たちと出会い。友好を深め、研鑽し合う関係を築き上げることが出来た。
そんなある日、一番仲良くなった秋蘭さんが、私にとんでもないことを聞いてきた。
「……斗詩は袁紹殿と肌を合わせたのか?」
「なぁっ!?は、肌ってどの肌ですか!?」
「落ち着け、ほら深呼吸」
「うー、……はい」
彼女に促されて深呼吸した後、落ち着きを取り戻した私は問い質した。
「いきなり何てこと聞いてくるんですか」
少し恨めしそうに秋蘭さんを見ていたせいか、彼女は苦笑しながら口を開く。
「魅力溢れる殿方の主に、可愛らしい従者二人が寄り添っているのだ。当然の疑問だと思うが?」
「み、魅力溢れるって……、まさか秋蘭さん!?」
「残念ながら私は華琳様一筋だ」
「……ですよねぇ」
その言葉に思わず安心してしまう。それを見た秋蘭さんは意地の悪い笑みを浮かべた。
「今、安堵したな?」
「うっ」
「ハハハ、わかりやすいなぁ斗詩は、姉者みたいで可愛いぞ」
「もう秋蘭さん!」
からかわれて頬を膨らまし声を張り上げる。しかし秋蘭さんは、まるで小動物でも見ているかのような優しい眼差しで言葉を続けた。
「すまぬすまぬ、ところで実際はどうなのだ?」
「ど、どうって……」
「とぼけるなよ斗詩、傍から見ていれば、お前が袁紹殿に想いを寄せているのは一目瞭然だぞ?」
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