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恋姫†袁紹♂伝
閑話―斗詩―
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ていたはずの男が女性を羽交い絞めにしていた。

「動くんじゃねぇぞ? そしてそこのガキィ……、よくもやってくれたな!!」

「っ!?あぅ!」

状況の悪化に対処できず動くことの出来なかった私は、大きな男の武器で叩かれ――

「斗詩ィッ!?」

麗覇様の悲痛な叫びと共に、意識を手放した。




………
……




「死ぬなぁ……、斗詩ぃ〜」

「……文ちゃん?」

次に目が覚めた時には自室の寝台の上で、私に覆いかぶさるようにして文ちゃんが眠っていた。

「心配……させちゃったかな」

親友の目元には涙を流した後があり、自分をどれだけ案じてくれたかがみてとれる。

「麗覇様……っ!?麗覇様は!」

そしてすぐさま意識を覚醒させ主の安否を確認しようと起き上がる。文ちゃんに確認したいけど、良く眠っているので布をかけて一人外に出ていった。

………
……


「あ、あんなところに」

その後、廊下でばったり会った武官の方から事件の報告を聞き、麗覇様や女性が無事だと安堵した私は、彼の無事な姿を一目見ようと探し回り、中庭でその姿を見つけた。

「……」

一人で座りながら月をぼんやり見ている麗覇様に、思わず見惚れてしまう。
 憂いを帯びたその横顔は、普段の自信溢れた表情とは余りにも違い。ことさら美しく見えた。

「ここに居たんですね麗覇様」

「斗詩……」

ややあって私は声を掛ける。此方に顔を向けた麗覇様は安堵の表情を一瞬浮かべ、私の額に巻かれている包帯を見た後、視線を逸らし悲痛そうに顔を歪めた。

「すまなかった……」

そして彼の口から出た謝罪の言葉は、普段の麗覇様の明るい声色は鳴りを潜め、今にも泣き出しそうなほどに弱々しかった。

「何を謝ったんですか?」

――意地の悪い質問かもしれない。しかし天真爛漫(てんしんらんまん)なようで他者を重んじるこの優しい主には、内に溜め込んだものを吐き出してもらう必要があった。

「全てだ、斗詩の忠告を聞かず三人で街に向かったこと」

「最終的には私も賛同しました」

「猪々子を連れて行かず二人で事にあたったこと」

「文ちゃんは説明しないと屋台から離れなかったかもしれませんし、見失うかもしれないから一刻の猶予も無かったです」

麗覇様が自分の不覚を打ち明け、私も同罪だと答える。そして――

「……斗詩に危険が迫るまで敵を斬ることが出来なかったこと」

「それは、私も同じです」

「……?」

最後の言葉に反応して再び私に目を合わせる。『疑問がある』と書かれてあるのでは無いかと思うほど呆けた顔をしていた。 本当にこの方は出会った頃から、良くも悪くも感情が表情に出やす
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