暁 〜小説投稿サイト〜
貴方の背中に、I LOVE YOU(前編)
貴方の背中に、I LOVE YOU  (前編)
[9/27]

[1] [9] 最後 最初
ツに、乗っていらっしゃる。この辺りでは有名です。私の御袋も、蛍の墓に納骨させて貰いました。有難うございます。ペンダントのお金は頂けません。私の感謝の気持ちです」と言って、一向に金を貰う事を拒んだ。義衛門は「有難うございます」と言い、テーブルに戻った。翌日、例の如く武井兄妹が遊びに来た。静は「これ、私の御土産よ」言ってペンダントを三人の首に掛け、自分の首にも掛けた。澄子は蛍のペンダントを見て「可愛い、有難う」と言い、安造は「僕、女じゃ無いよ、男だよ、恥かしいよ、大丈夫かな?」と言い、ダウン症の妹桃子は無頓着だった。後日、澄子と桃子はペンダントを掛けてきたが、安造だけは掛けて来なかった。
二年生に入ると、静の、どうして?時代に成った。好奇心が旺盛な時代の始まりであった。「どうして、夏は暑いのに、冬は寒いの?」「どうして、お日様は丸いのに、お月様は三日月様に成るの?」「どうして、鳩さんは飛べるのに、ペンギンさんは、飛べないの?」「どうして?」「どうして?」の質問の連続であった。最初、朝子とタキは静の質問に答えていたが、次第に答えが分からなく成り「お爺ちゃんは、お家で一番偉いから、何でも知っているよ」と言い、解答役を義衛門に振った。「お爺ちゃん、どうして、カンガルーさんは赤ちゃんが、お腹の袋に居るけど、白ちゃんには、お腹の袋が無いの?」「どうして、荷車は人間が引いて動くのに、お爺ちゃんの車は、お爺ちゃんが乗ったままで動くの?」「どうして?」義衛門は返答に困る様になり「少し待って、お部屋で考えて来るから」と言って、自分の部屋に戻り百科辞典を紐解いて答えた。それでも分からない時は、「明日までに、考えるから」と言い、会社で従業員に聞き回った。静の質問は、義衛門自身にも勉強になった。中には義衛門自身が、いくら考えても、他の者に聞いても分からない、問いも有った。「人は人を殺していけないのに、どうして兵隊さんは人を殺してもいいの?」「どうして、お釈迦様や観音様は着物を着て居るのに、美術館のお人形さんや絵は裸なの?」・・・?
静が三年生になった頃、ようやく黒君と白ちゃんに、雄と雌の二匹の子犬が産まれた。二匹とも色は灰色だった。以前より、加賀藩の明主、前田利家を尊敬していた義衛門は、雄犬に利家(としいえ)・雌犬にまつと名付けた。しかし、雄の子犬の利家は、登校時に黒君と白ちゃんを追いかけ、三輪トラックに轢かれ一歳を待たず死んでしまった。母犬の白ちゃんは、何度も利家の体を頭で揺すり、悲しい鳴き声で「起きて、起きて」言っているかの様だった。その日は、静も涙が止まらず、小学校を休んでしまった。後日、利家を納骨する為、親犬の黒君と白ちゃんも同行させようと、田村家族は考えていた。しかし、納骨の当日、何回呼んでも犬達の姿は、見当たらなかった。仕方なく四人は、車のドアを開けたら、既に黒君と白ち
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ