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貴方の背中に、I LOVE YOU(前編)
貴方の背中に、I LOVE YOU  (前編)
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言って、七子を帰した。七子も安堵して帰宅した。
ある日、タキが、食事の食べ残しをゴミ箱に捨てる様子を、安造が見ていた。安造は、タキが立ち去るのを確認してから、腰のベルトにある手拭を取り出した。ゴミ箱から食べ残しを手拭に包んで縛った。夕方、兄妹は、台所にいるタキに挨拶して帰宅しようとした。タキは、安造が後ろに何か隠し持って居る事に、気付いた。タキは、隠している物を、前に出す様に指示したが、安造は拒んだ。タキが、強引に安造の手を引いたら、手拭の包みの縛りが解け、芝生に散乱した。それは、ゴミ箱から拾った、残飯だった。安造はタキに「御免なさい」と誤った。タキは「待っていて」言い、手拭を台所で洗い、台所に有った食べ掛けの食べ物を、手拭に包み安造に渡した。兄妹は「御免なさい、有難う」言って、嬉しそうに帰って行った。タキは、明朝、台所の前の芝生に散乱した食べ残しを、掃除する事にした。翌朝、静が大声でタキを呼んだ。数羽の雀と鳩が、台所の前の芝生に散乱した残飯を、啄ばんでいた。静は「雀さん可愛い・鳩さん可愛い」の連続だった。それ以来、田村家では残飯の餌場を設け、野鳥が集まる場所になった。日が経つにつれて、鳥達は手の平から餌を啄ばんだり、頭や肩に停まったりする様になり、鳥達の仕草は、子供達は元より義衛門・朝子・タキにも及んだ。
三人分のキャラ弁を作り始めてから、数週間経ったある日の事だった。義衛門が昼に、会社で弁当箱を開けた。それは静のキャラ弁だった。女子事務員が「社長のお弁当可愛い」冷かした。その日、静が帰って来て「今日のお弁当の一つ、凄く辛かったよ。でも三人で、全部食べたよ」朝子に言った。義衛門と静の弁当を取り違えた、オッチョコチョイの朝子の仕業だった。夕方、朝子は義衛門に「今日は、お弁当を間違えて、御免なさい」と誤った。「偶には良いね、美味しかった、静の弁当は豪華だな」と、義衛門は笑い返した。
秋の運動会が始まった。PTA会長の義衛門は、テントの中の主賓席に座っていた。朝子とタキは、日陰になる場所を選んで陣取った。隣の陣には武井家族がいた。主賓の挨拶で、PTA会長の義衛門は、檀上に立った。入学式での出来事を覚えている父兄から「会長、今日は礼服、間に合いましたね!」と、野次が飛んだ。会場が笑いで一色になった。義衛門は「入学式では、皆様に、大変ご心配お掛けしまして」礼服の襟を掴んで(つまんで)「今日は、大丈夫です」と、軽く返した。会場が、爆笑に包まれた。挨拶は「生徒の皆さん、今日はお父さん・お母さんが居るから、先生は怒りません。だから、先生は怖く有りませんよ。楽しんで下さい」と言う、ジョーク混じりの短い挨拶だった。運動会は、和やかな雰囲気で始まった。昼食の時間になった。主賓席から義衛門が、戻って来た。田村家の料理は、昨夜から朝子とタキが作った料理で豪華だった。隣の武井家
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