貴方の背中に、I LOVE YOU (前編)
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ました。しかし、田村中尉は[日本軍が来るから、すぐに逃げろ]と皆に,振れ回りました。おかげで、住民の大半の命が、助かりました。田村中尉は、我々の命の恩人です。後日、彼が、我々に密告している事が、日本軍に発覚してしまいました。田村中尉は反逆罪で、日本軍により銃殺されました。遺体は、放置された侭でした。我々は日本軍の隙を見て、田村中尉の遺体を収容しました。遺体の内ポケットに、二枚の写真が有りました。一枚はこの手紙に同封した集合写真で、裏に写っている人物の名前が順に書かれ、生れて来るBabyの名前は、男が平、女が和と、記して有り、日本の住所も書かれていました。もう一枚は女学生姿の静さんの写真で、裏に静十七歳と記して有りました。遺体は我々の手で、北東に海が見える丘に、女学生姿の静さんの写真と一緒に、埋葬しました。北東は日本の方角だと、我々は考えました。後日、住民の寄付を集め、慰霊碑を造りました。慰霊碑は、灯台も兼用する様に造りました。灯台の灯りは、北東の方角を照らせば良いと、考えました。慰霊碑にはOur Benefactor Mr. Masayoshi Tamura (私達の恩人・田村正義殿)と、彫りました。慰霊碑の写真も、手紙に同封して有ります。町の画家に依頼し、田村家族の集合写真に基づき、田村中尉の人物画を描いて貰いました。画家は、ボランティアで描いてくれました。画は現在、町庁舎の玄関に飾って有ります。田村中尉は我々の命の恩人です。感謝しています。有難う御座います」読み終わってロバートは、同封して有る写真を見て「Mr. Masayoshi Tamura Wonderful」と、目頭を押さえながら言い、手紙と写真を静に渡した。静は片言の英語で「Thank you Thank you」と礼を言った。ロバートは「See you again」と言い残し、門の奥に消えて行った。静は、手紙と写真を、胸元に大切にしまい込んだ。静はホセからの手紙で、正義が静の女学校時代の写真を、身に付けていた事を知った。そして、日本政府からの訃報の知らせの際、階級は剥奪され、殉死の記載・遺品・お骨が無かった事も、理解出来た。夫、正義は日本軍にとっては、反逆者だったのだ。その夜、静は写真と共に手紙の内容を平に語ったが、幼い平は、又もや半信半疑だった。それを静は、義衛門から受け継いだ手記にも記した。その後、静は折を見ては、度々、平らに語った。
平が五歳を過ぎた頃、アメリカより一通の国際郵便が届いた。手紙は宛名も差出人も日本語で書かれていた。差出人には、サト・ウイリアム(Sato Williams)と、書かれていた。封筒を開けてみた。中には数枚の手紙と、写真が二枚入っていた。一枚目の写真は白い平屋の写真で、二枚目の写真には、右側に女性・左側に男性・中央に男の子が二人と女の子が一人と、一匹の犬が
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