第一六話「平均化」
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数え切れ無いほど。世界は数多く存在するんだ」
「一ついいでしょうか」
ふと、という感じで手を挙げたのは神裂だった。彼女は椿を見据えると、話し出す。
「今回の一件。私たちはあなたたちが何らかの方法で話をつけた最大主教から命じられ、抽象的にしか説明がなされず疑問に思っていたことが多かったです。それはその一つなのですが……」
一度区切りを入れ、神裂は椿に向かって言い放った。
「我々の世界と同一人物がいない4つの世界が一つになったのなら……おかしくないでしょうか」
一瞬、何のことかと思い、そして同時に気付いた。
そうだ。
今の話を鵜呑みにするとおかしいところが一つ出てくる。明らかに辻褄が合わない、合ってもならない箇所が一点。
それは
「…………人口ね」
「そうです」
琴里の言葉にうなづき返す神裂。
「私たちがいた世界には、少なくとも60億の人間が地球上にいたとしましょう。他の世界がどれだけの人口かは知りませんが…それらを全て足して、総人口が約60億人というのは、いくらなんでもおかしくはないでしょうか」
??
場が、静まり返る。
上条は息を呑んだ。
確かによく考えてみればおかしい。現在の地球の人口は60億ということは上条でも知っている。
が、それは4つの世界が、1人も同一人物がいない世界が一つになって生じた結果だ。何故なら、今がその状態だからだ。
もし、一つの世界が60億の人口だとしたら、
……残りの180億の人々はどうなったんだ?
それは、もしや
……あの世界で、辻褄合わせの為に「いなかったことにされた」俺と同じように……!
「安心して……っていうのはおかしいかな」
「あれ」を思い出し、大粒の汗を流していた上条だったが、その不安を知ってか椿がこちらを向きながら物色してきた。
「確かに、元々4つの世界にはそれぞれ60億近い人々が生きていた。けどね。合成されたと言っても、世界の数が減ったわけじゃないの」
「は……?」
『先ほど、世界は今尚無限に増え続けていると言いましたね』
一息。
『けど、一度できた世界は消えることはないのです。世界の数は増えることはあっても、減ることはないのですよ。
それに、世界の合成と言っていますけど、正確には世界を一つにまとめた物を、再分割したようなものですが……』
「ようは、4つの世界にいた合計180億近い人々が、4つの世界に改めて再分割されたってわけ。「魔術」や「精霊」。そういう他の世界には無かった独自の理を全て足したような4つの、世界の合成物にね」
「ようするに……僕たちの世界の特異的なものが合成されたが、世界の
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