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とある緋弾のソードアート・ライブ
第一六話「平均化」
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減面倒くさくなってなったのか、うんざりしたステイルが実際どうなのかと聞けば賀川は顎に手を置いて、こう言った。

『それは……無いですね』

 何かが崩れ落ちる音がした。見れば、自身の左側、キリトの隣にいる一番ドア側に近い席の男や正面の金髪グラサンの男が机に突っ伏していた。斜左前のツンツン髪も同様である。

 そんな2人の様子を見て、慌てて表示枠越しの青年が訂正した。

『あ、いえいえ。多分お三人方が言っているような世界はあるかもしれないし無いかもしれませんが、今話題に上がっている世界とは違うものなんですよ』
「?違うって、どう違うの?」

 多くの者の疑問を代弁する形で、口を開くリズベット。彼女の疑問に引き続き、青年が答えた。

『壷井さんや上条くんが言ったような異世界は、あくまで『選択の違い』によって分岐しただけの世界なんですよ。
 例えば、根本的なところがまったく違うように見えても、それはAかBの選択で、AではなくBを、もしくはBではなくAを選んだ。
 それだけの違いの場合によって別々の物となった結果が壷井さんや上条くんが言う『異世界』です。対して、僕たちが今話題に挙げているのは、根本的に違う『異世界』なんです』
「……すいません。具体的な違いをお願いします」

 士道が間を挟んでくるが、これは仕方ないだろう。

 ……士道も士道なりに、ちゃんと考えているんでしょうしね。

 なにせ今回の一件にはDEM社も関わっている。この街にいる以上、もはや自分たちが知らぬ存ぜぬで貫き通すわけにはいかない。現に、この瞬間にも次々と学園都市の被害は拡大していっている。

 ……だからこそ、この会合は重要なのよ。

 士道の言葉に頭の中で言葉を整理していたのか、思考している風だった青年が、顔を上げた。

『僕らが今挙げている『異世界』とは、そもそも同じ人間が存在していない。ある世界にいる人間は別の世界には存在しない。それが僕たちの言っている『異世界』なんです』

 一息。

『そして僕たちが言っている世界の数は日々増えている。それも無限に』
「それらの中には本当に様々な世界があるんだよ。
 再び人類をやり直させるために一から歴史をやり直している、私たちの時代から遠い未来の時代の世界。
 魔法という技術が科学的に成り立っていて、それにより世界の調和がギリギリ保たれている世界。
 魔術が無い代わりに女性のみが動かせるある技術が世界のパワーバランスを担っていて、女尊男卑となってしまっている世界。
 願いを叶える万能の器を巡って、古今東西万夫不当の英傑たちが召喚され、魔術師と共に争う世界。
 もともと日常の垣間に存在する異常を、とある存在が無自覚に発現して、歪められている世界。
 他にもたくさん、それも
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