31話:油断大敵
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ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ、略してムスカは6-Eエリアに移動していた。
理由はもちろん、地図上にラピュタ城と書かれていたからだ。
しかし、自分が人生をかけてまで手に入れようとしたその要塞は既に崩れた状態で参戦しており、6-Eは瓦礫で埋め尽くされているだけのエリアとなっていたのだ。
それを見てムスカは、‥‥発狂した。
「あああああ! ラピュタが! ラピュタがあああああ!」
人目も憚らずに泣き叫ぶムスカ。
もしこの場にキーボードクラッシャーが居たならば、大声で笑いながら指を指し、こう言うだろう。
「ざまあ(゚∀゚ )wwwwww」
と。
そしてひとしきり泣き叫んで、ムスカは顔を上げる。
サングラスが失われ、少し傷のついた顔は決意に満ち溢れていた。
―――失われたラピュタは自らの手で元に戻す。
すなわち殺し合いで優勝し、それにより得られる特権でラピュタを滅ぶ前の状態に戻す。もともとマーダーだったムスカにこの選択に抵抗は無い。
そしてもうひとつ。
主催者の殺害だ。
ラピュタを元に戻した後に、隙をついて神聖なラピュタにこのような真似をした主催者を殺害する。
そのためには主催者の情報を殺し合いの最中に知る必要がある。
だとすれば、しばらくは他の参加者と交流した方が良い。しかしムスカは既に二人の参加者を襲撃し、殺害に失敗している。
あの二人、―――黒い全身タイツとの男とピンクの髪の男―――には自分が殺し合いに乗っている事が既に伝わってしまった。あの二人が誰かに出会う前に死んでいれば良いのだが、それは楽観的すぎる期待だろう。
ムスカのようなたった今ステルスマーダーになると決めた人物にとって、これは痛すぎる過去だった。
この問題に対し、ムスカは一つの手段を思い付く。
―――変装。
顔を隠すような格好をしてしまえば、万が一ムスカの事を知ってしまった参加者と出会っても、しばらくは誤魔化す事が出来るのではないか。
服装と髪型に加え、マスクやサングラス等を使えば正体がバレる確率は格段に下がるだろう。
―――などと、思考している間に後ろから忍び寄ってきた気配にムスカは気が付かなかった。
ゴッ、と背後から忍び寄ってきた何者かはムスカの頭に辺りに落ちている瓦礫の一つを打ち付けた。
「ぐああっ!」
苦痛でその場に崩れ落ちるムスカ。
その隙をついてムスカを襲った下手人はムスカのデイパックを拾い上げ、走り出した。
「ま、待て!」
デイパックには入れず、自分の横に置いといたイングラムを持ち上げて下手人に向ける。
しかし頭を強打されたショックが抜けず、流れ出た血のせいで狙いをつけることもままならない。
それを見た下手人はポケットに手を入れて、
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