恋慕深化
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、または下半身を欠損している。
それらは黒いヘドロの海に浸かっていて、まるで船が沈んだ後に残る一面水死体の地獄絵図の様相を呈していた。
「もう終わったんだよ。助かったんだよ」
そう、終わっていた。
残っているのはデイドラとリズのみ。
「終わったのか。そうか」
生を感じ、膝から崩れ落ちそうになるのを堪えて、
「帰るぞ」
と言い、デイドラは武器と魔石の回収に取り掛かった。
「うんっ!」
再び目に涙を溜めて笑顔で頷くと回していた腕を名残押しそうに解き、デイドラを手伝った。
「ん?」
その途中だった。
デイドラはどこか見覚えのあるナイフを足元に見付けた。
拾い上げて見ると、それは刃が黒ずみ、使い込まれているのがわかった。
「あっ、それ、私の!捜してたのだけど、見付からなくって!」
不思議そうに何かを眺めているのに気付き、背後から覗き込んだリズが声を上げる。
「そうか」
「わわぁっ!」
その声に反応して、デイドラは柄を握ったまま振り返り、背後に立っていたリズに刃を掠めさせた。
「ナイフを渡すときに切っ先を向けるのは危ないでしょっ!」
「すまない」
「……も〜お、しょうがないな〜」
素直に非を認めて今更の如く柄がリズに向くように持ち替えるデイドラにリズは顔を綻ばせて、デイドラの疲労困憊から来る棒読みも気にせず、世話のかかる弟に対するような口調で言う。
「あっ、デイドラ、ちょっと待って」
機械的に再び魔石の回収に取り掛かろうとしていたデイドラを呼び止めた。
「なんだ」
「少しの間じっとしてて」
振り返ろうとしたデイドラを制して、その背中に両手を当てた。
【――――――――】
そして、早口で何かを囁くと同時にデイドラとリズを淡い緑色の光が包み込んだ。
治癒魔法。
端的に言えば、仲間の傷を癒し、疲労を快復させる魔法。
そして、リズが今使っている魔法である。
そのリズの背中からは、開花を早送りにしたように二対の光を放つ羽が伸びた。
ややあって、二人を包み込んでいた光は薄れていき、リズの羽とともに霧散した。
「これでよしっ。うん、もういいよ」
「手間を掛けさせたな」
身体が軽くなったことからリズが自分に何をしたかを悟り、デイドラは礼を口にする。
「えっ?いや、いいよっ!私これぐらいのことしかできないし」
リズは赤面して目を逸らしながらも顔の前で手をぱたぱたさせて答える。
「そうか」
と、そのリズを見てデイドラは言葉少なに言った。
「…………………………」
更にそのデイドラの顔をリ
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