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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
恋慕深化
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ろに反らされて、かわされる。

 「くっ!」

 攻撃が全て空を切るようになり、狂気に委ねていた心がふと意識した死の言葉に正気に引きずり戻され、デイドラは焦燥に駆られていた。
 既に息は絶え絶えで、動きも普段のものとは思えないほどに鈍重だった。
 着ていた上着は無残にも引き裂かれ、生傷だらけの年齢不相応に引き締まった身体を曝していた。
 今、刃を交わしているウォーシャドウが何体目なのかは定かではない。
 両手で数え切れなくなったときから数えるのは止めていた。
 だが、始末すべき残りの数は明白で、目の前のウォーシャドウが最後の一体だった。

 「くそっ!」

 とは言っても相手は無傷、デイドラは満身創痍。
 いや、満身創痍で済んでいることの方が幸運だ。
 戦っている場所が通路だったために各個撃破が可能だった。
 もし、広間(ルーム)が戦場だったならば、足を止めた瞬間に囲まれて八つ裂きにされていたことは想像に難くないのだ。
 だが、その幸運も尽きようとしていた。

 『――――!!』

 デイドラが精魂尽き果てようとしているのを目敏く見抜いたウォーシャドウの苛烈になった連撃に防戦を強いられていた。
 時にはかわし、時には受けて、時にはいなし、時には弾いて致命傷を避けていたものの、ちょっとした弾みで谷底に墜ちてしまうような危なげな境界線上を揺れ動いているようなものだった。

 (私の所為だ。全部私の所為だ)

 リズはそんな光景が自分に己の浅はかさと無力さを見せ付けられているのだと思った。

 (何でデイドラについて来てしまったの?何でデイドラの干し肉を食べてしまったの?何で私は何もできないの?)

 リズは涙をぼろぼろと(こぼ)し、歯を食いしばっていた。
 デイドラに助けられて、我知らず付いて回った揚句に彼の食料を奪ってしまったにも拘わらず、彼の危機に何もできない情けない自分に尽きることなく沸き上がる自責の念に正気を失いそうになるのを必死で食い止めていた。
 リズは単独で七階層に潜ったことがない。
 つまりは、七階層のモンスターと戦える力量がないということ。
 今、デイドラに加勢しても、足手まといになるだけだということでもある。

 (私は何で強くなれないの?)

 何度目になるかわからない疑問を心のうちに呟いた――その時だった。

 「くっそがああああああああ!!」

 焦燥に駆られて痺れを切らしたデイドラがやけくそに短刀を大きく振りかぶった。
 それは相手に攻撃する隙を与えるだけでなく、太刀筋が筒抜けで、簡単によけられてしまうという百害あって一理無しの最悪手と言っていい行為だった。
 案の定、その斬り下げの斬撃はいとも容易に弾かれる――と同時に彼の手からも短刀が弾かれ
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