第101話 少年は選びたいようです
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ない。その力があれば君は……世界を救える。」
「………世界を、救う?」
「そう、彼等は戦の後の十年間身を粉にして尽力しましたが、まだまだ世界は理不尽に
満ちている。故に……力を持つ者は世界を救うべきなのです。君もそう考える筈です。
―――あの村の人々の様な犠牲を二度と出さない為にも、ね。」
「―――ッ!!」
ザワッ
今までで一番いやらしい笑みと共に告げられた、深い部分にある悲劇の記憶に身体が疼く。
な、ぜ、僕の村の事を知って?いや、なんでここでそんな事を引き合いに出すんだ?
地球にある、小さな村の事を――仇――地球にあるからこの世界に関係が無い?それが間違い
な――敵――んじゃないか?魔法世界と旧世界を繋ぐゲートが近くにある村が・・・?
「君の上には父から繋がる歴史があり、父に迫る力まで得た。その上世界最古の王国の血を引く
末裔の一人でもある。汚名を着せられたとは言えこの世界の始祖の末裔、その血はこの世界の
正当な所有者の証だ。これらが何を意味するか分かりますか?君は君の価値を理解すべきです。
君にはこの世界を支配出来る力があるのですよ。」
考えを纏める間も与えられず、次々と訳の分からない単語を捲し立てられる。
汚名を着せられた?始祖の末裔?世界の所有者?なんの――
「如何です?私と手を組みませんか?君にも望む世界をプレゼントしましょう。」
「……………なんなんです、何の話をしているんですか?何者なんです……あなたは!!」
ゴォッ!!
遂に振り切れた思考が魔力を暴走させ、先程の威嚇とは比べられない魔力風が吹き荒れる。
両腕の『闇の魔法』の印が浮き上がり、焼かれるような熱を帯びる。
それを封じ込める様に拳を握った瞬間、更に風が強くなり、地面がひび割れる。
「駄目ですか……世界を支配するとはつまり、世界を救う手でもあるのですが……
ピッ!
フ、おやおやこれはこれは♪これで正当防衛が成立しました。」
「貴様……!」
そのひび割れた地面のごくごく小さな破片がクルト総督の頬を掠め、目論見通りになったと
嬉しそうに手を振り下ろし、控えていた重装兵達に攻撃命令を下す。
「丁重におもてなししなさい。」
『『『ハッ!!』』』
ドッ!!
命を受けた兵士が重厚な音を立てて突撃して来る。
あの装備はMM軍精鋭兵専用の障壁貫通付与の魔銃槍と縦長の盾一体剣。それに自動障壁と
反魔装甲の二段構えの全身鎧。中級どころか、上級魔法でも一撃では倒せない布陣。
強敵だけれど、今の僕の敵じゃない!
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