ep-1─それは突然に舞い降りて
#03
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じゃぁないんだなぁ、これが。あのね、もっと具体的に言うとだな……」
そして。
「あの女の子を、殺すんだ」
その言葉は、冷たくレンの脳裏に響き渡った。
「……は……?」
「文字通りの意味さ。あの娘を殺すんだ」
「……ちょっと待て」
意味を理解するのに、少々時間を要した。
殺す。殺害する。つまり、《円卓のマリア》を名乗るあの少女の命を、何らかの方法で奪い取れ、という事だろう。
「何故だ? 理由を教えろ」
「詳しくは教えられない。けれど、ここで彼女を殺さなければ、もっと不味いことが起こる」
それは――――
「どういうことだ」
「ごめん。教えられないんだ。だけどこれだけは言える。君が彼女を殺すことは、あの娘にとっても、君にとっても……そして、君の友人たちや、この世界にとっても利益になる事なんだ」
「……意味が分からない」
殺すことと殺されることが利益になる? そんなことはありえない。そのことを、レンは二年前に痛感した。
あの戦乱に於いて、殺すことは常識だった。敵を殺す。民間人を殺す。殺し尽くさなければ明日への希望が開かれない。殺し尽くさなければ、殺される。
そんな空間で何日も何週間も何カ月も何年も戦い続けて、感覚が摩耗して行く。殺すことに成れて行く。そんな許されざる状態に、誰も彼もが陥っていく。
そこに救済などは無い。そこに利益などは無い。全てが終わった時、この手に残ったのは奇妙なむなしさと、激しい後悔、そして己への悲憤だけだった。
どうして、この手で剣を握ったのか、と。
しかしそんなレンの内心を見透かすかの如く、ワールドはその大きな瞳を細めて、告げた。
「なら……こう言ったらどうかな。君が彼女を殺さなければ、いずれ君の大切な人たちは、残らず死ぬだろう……否、君の手で殺されるだろう、と言えば」
「――――ッ!?」
それは。
繰り返せ、と言うのか。《仲間殺し》を、もう一度。
「俺は……」
右手が震えだす。止まらない……左手で無理やり押さえつけてでも。
《仲間殺し》を繰り返すのか。
それとも、再びあの血染めの日々に回帰するのか。
「俺は――――」
――――どうすれば、いい……?
A:【「……分かった。あいつを殺す。みんなの命が大切だ」】
B:【「……駄目だ。何があっても、誰も殺さないと決めた」】
C:【「俺には……選べない……ッ!」】
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