ep-1─それは突然に舞い降りて
#03
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っていない。いや、いないでもなかったのだが、それは本当にそう言ったいわゆる《シーフ職》、《偵察隊》の者達や、それに相当する能力を本命の能力として保有していた者達くらいだ。
この時点で、ワールドの方が、レンより優位に立っていることが、判明していた。
「扉を開けてくれないか。詳しい話をしたい。君も、俺の顔が見えた方が気分がいいだろう?」
「……」
――何を狙っている……?
疑問が尽きない。だが、ワールドの言う事にも一理ある。交渉事に於いて、相手にだけこちらの顔が見えている、と言うのは最悪に近い状態だ。相手が許可しているならば、相手の顔を見ておく必要があるだろう。
レンはゆっくりとドアを開けた。もちろん、剣は持ったままで。
果たして、ドアの向こうには、月光に照らされて一人の青年が佇んでいた。年のころは十六歳から十八歳ほどか。くせ毛混じりの黒髪に、快活そうな瞳。司祭服の様なロングコートと、白いフードを身に纏っている。
背中には、空色の大剣。あれが武器なのだろうか。
「……改めて、初めまして。俺はワールド。よろしく」
「……レン」
ふむふむ、とワールドは頷き、
「うーん、俺が知ってるレン君よりか暗い、かな……? 気のせいか……?」
「……まぁ、そうだろうな。二年前とは違う」
レンは二年前と比べて、自分の性格が暗くなったことは自覚している。二ヶ月目あたりまではまだ冗談を言ったりする余力はあったのだが、最近はどちらかと言うと『冷酷』になったのではないか、と、例の看守にも言われたほどだ。
しかしワールドは苦笑して、
「あぁ、いや、そーゆー事じゃないんだ。うーん、なんて説明したらいいかなぁ……まぁいいや、忘れてくれ」
そう言って、さらに笑った。
――人懐っこい笑い方だな。
直感的に、そう感じた。だがそれに対しては、少々の違和感を感じる。なぜならば、彼は少なくとも、マリアに対して何かを行うために此処に来たのだろうから。
「……随分と友好的だな」
「まぁね。俺の方じゃぁ、君には何の恨みもないし。というかむしろ、それこそ友好的に接したいくらいだ。だからこそ……君に、忠告をする。
あの金色の女の子を、匿っちゃいけない」
それはつまり。マリアを追い出せ、という事だろう。だがしかし――――
「無論そのつもりだが? あいつには明日には出て行ってもらうつもりだったんだが」
「わーぉ、バッサリ」
容赦は無かった。事実、レンは明日になったらどれだけ渋られようが、何を吹聴されようがマリアを外に放り出すつもりであった。
しかし、その解答に対して、ワールドは少し困った様に眉をひそめて続けた。
「けどねー、そーゆー事
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