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超越回帰のフォルトゥーナ
ep-1─それは突然に舞い降りて
#03
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できたのも、この能力の常時発動機能(パッシブモディファイ)、通称《感知範囲拡大》のお陰によるところが少なからず存在する。

 果たして――――近づいてきたのは、どうやら人間の様だった。情報からすれば、性別は男か。背はあまり高くない……若いのだろうか。緑色のカラーカーソルが浮かんでいる……《担い手(カルマドライバー)》だ。マリアの言葉を信じるならば、レンと『《運命軸》が同じ』。

 ――誰だ……?

 心当たりはない。しかもわざわざこんな時間に来るなどと、友好的な存在だとは思い難い。

 何の目的で――――いや、心当たりがなくはなかった。

 一つは、レンに個人的に恨みがある者。あれでも一応、軍の収容所はかなり厳重な警備が成されていた。レンが釈放されたと聞いて、寝こみを暗殺しに来た可能性。

 もう一つは……マリアを訪ねてきた場合。しかしそれならば、彼女が此処に入るのを見ているわけで、だとしたら何故今更訪ねてきたのか、という疑問が残る。害をなすにしても、マリアが一人の時を狙えば良かったはずだ。

 ともかく――――レンはひっそりと部屋を抜け出すと、物置から持ち出しておいた片手剣を携えて、玄関まで近づいた。

 そして。


 コン、コン、コン。


 軽やかな音が、扉から響く。

「……誰だ」

 声を低めて、レンは問う。恐らくは答えないだろう、と思いつつ。

 しかしその予想に反して、扉の向こうからは、レンと同年代、あるいは年下とも取れる少年の声が答えた。

「ワールド」
世界(ワールド)……?」

 聞きなれない名前だ。と言うよりは、純粋な人間につけられた名前だとは思い難い。

「君に、一つ忠告をしに来た」
「忠告だと……?」

 ワールドと名乗った少年の声は、真意を感じさせない声で、静かにレンへと告げる。

「君は今日、金色の髪の女の子を保護しただろう」
「……知らないな」

 マリアの事か。しかしここで素直に答えてしまえば、何に巻き込まれるか分かったものではない。だが、しらばっくれたレンの解答を、まるで見透かしていたかのように、ワールドの声は苦笑しながら返した。

「とぼけないでくれよ。こっちも君と同じで『見えている』んだ」
「――――!」

 それは……この男(と思われる)の《超越回帰》にも、レンのそれと同じく《索敵》スキルが組み込まれている、という事を意味している。

 だが、続く言葉でワールドは、悪い意味でそれを否定した。

「それだけじゃぁない。こちらからは、君の顔も見えている」

 透視。いくら《索敵》スキルの練度が高い人物…恐らくそれに『特化』している者…だとしても、《透視》のスキルを持っている者はほとんどいなかった。レンも持
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