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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 後編
圏内事件 3
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ーをオーダー。卓上にひっくり返されて積み上げられた曇りガラスのコップに、これまた安っぽい水差しから氷水をガラガラ注ぐ。

「なんだか……残念会みたくなってきたんだけど……」
「気のせい気のせい。それより、忙しい団長どののためにさっそく本題に入ろうぜ」

 これ以上なく微妙そうに唇をへの字に曲げたアスナだったが、キリトに促されると、一度コホンと咳払いをして表情を整えてから事件のあらましを語った。どことなく緊張感を持った店内に、アスナの凛とした声だけが響く。その全てを聞き終えてから、ヒースクリフは一度コップを傾けて、ふむ、と呟いた。

「では、まずは君たちの推測から聞こうじゃないか。キリト君。君は今回の《圏内殺人》の手口をどう考えているのかな?」
「……まあ、大まかには三通りだよな。まず一つ目は、正当な圏内デュエルによるもの。二つ目は、既知の手段の組み合わせによるシステム上の抜け道。そして三つ目は……アンチクリミナルコードを無効化する未知のスキル、あるいはアイテム」
「三つ目はあり得ない」

 キリトの仮説を、マサキが即座に否定した。と、ヒースクリフは「ほう」と呟いて興味深そうな視線を、その他の三人は驚いた顔をマサキに向けてきた。言外に理由を尋ねられていると察したマサキは、氷水で口を湿らせて二の句を継ぐ。

「――SAOのルールは、原則全員に平等で、公正だ。そしてそれは、プレイヤー間の格差を埋めることによって『モチベーション次第でどこまででも強くなれる』という状況を作り出し、プレイヤーたちの競争心と強さへの執着を煽ることでハイレベルプレイヤーを育成、『アインクラッドを攻略する』という、ゲームの目的を()()()()()()()()どうしても必要な要素だった。にもかかわらず、その大原則を正面から破り捨てる愚を茅場晶彦がするとは思えないんだよ。……もっとも、《聖騎士》殿を見る限り、どうやら例外はあるようだが」
「ふ……マサキ君、それはお互い様と言うものではないかな?」

 最後にチクリと付け足すと、ヒースクリフは片頬を持ち上げて返した。肩をすくめて返答するマサキ。ヒースクリフが続けて言う。

「私としても、彼の意見に賛成だ。このゲームを開発した人物が、そんなことをするとは思えない。……では、次はマサキ君に尋ねようか。君は、この事件の手口をどう推測する?」

 氷水に口をつけていたマサキは、含んでいた水を飲み下してから答えた。

「一つ目、二つ目はキリトと同じだな。三つ目は今の理由で反対。あともう一つ挙げるとすれば……ゲームを構築しているシステム群に、何かエラーやバグの類が発生した、ということくらいか」

 コップを片手にマサキが告げた途端、キリトの顔に衝撃が走った。珍しく
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