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謎の美食家
1部分:第一章
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普通の人じゃないよ」
「けれどこの店の料理は気に入ってくれてるな」
「だからいつもこの店に来てくれるんだな」
「それは間違いないな」
 わかっていることはだ。このことだけだった。
「美味いって言ってくれるしな」
「それに金払いもいいしな」
「しかもチップまで出してくれるよ」
 こうした場所の店はないことだった。そうしたことは貴族の世界だけである。平民、しかも猥雑な労働者や小売業者の間ではだ。そうしたことはないのだった。
 それでだった。このことが余計に店の者達が客について考えさせるのだった。とにかくだった。その客は不思議な客であった。
 しかしやはり来る。そうしてであった。
「今日はだ」
「はい、何を頼まれますか」
「ソーセージだな」
 まずはそれだというのだ。

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