番外編4。人喰い村と魔女と……
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求めたから発生したものだからだ。
無意識だとしても、生み出しておいて現れたら困るからポイとするなんて。
それはちょっと酷いんじゃない?
なんて思ってしまう。
だから私はロアを取り込む。
私の食べたロアで、いつか人間達にギャフンと言わせる為に。貴方達が生んだ私達は、こんなにも貴方達の脅威になるんですよー、と思い知らせる為に。
そこに意味なんてない。
何故なら……私は「そう」生まれてきたのだから。
______まあ、最近はちょっぴりだけ。
そんな人間達と仲良くするのも悪くないかなぁ、なんて思っちゃってるけどね。
「どうする? 詩乃ちゃん」
「あはっ……お願いね?」
「OK! それじゃあ……!」
私が魔道書を開くと、そのページに記されている『ロア』が発動した。
赤い光が周囲を走り……『5つのドア』が空中に現れて詩乃ちゃんをぐるりと囲んだ。
コンコンッとドアの内側から叩く音が聞こえて。
「花子さん達、お願いね?」
『はーい!』
2つのドアから元気な女の子の声が聞こえると、3番目と5番目のドアが同時に開いて、ザバーッ、と両サイドから詩乃ちゃんに大量の水がかかった。
「うわっ?? トイレの水??」
「花子さんだもの、仕方ないよね」
開いたドアから出てきたのは双子のようにそっくりな女の子。
おかっぱ頭で、可愛いらしい赤いドレスに身を包んだ『花子さん』が顔を覗かせて微笑んだ。
そして。
地面からは大量の赤い蟲達が一斉に詩乃ちゃんに向かって襲いかかり。
その小柄な体を一瞬で包み込んだ。
瞬きをした______次の瞬間には、詩乃ちゃんの体はそこにはなくなっていた。
「捕食完了。ごちそうさまでした」
バタン、と魔道書を閉じると、表紙がぼんやりと赤く光った。
空中に浮かんでいたドア達も消失していて、花子さん達も消えていた。
「ふう、終わったね。これにて一件落着……かな?」
モンジ君達といると大変だけど退屈しない。
キツイ代償は嫌だけどそれ以上の見返りも彼らといればある。
研究も進むしね。
私が今しているのは人間についての研究。
それは『魔女』として生きる、存在価値、ライフワークみたいなものでもある。
「代償は嫌だけど……ふふっ『人喰い村のロア』をゲット出来たんだから、お釣りがくるかな? ありがとう、モンジ君。やっぱり君といると、いい事、いっぱいだね?」
愛しい、愛しい彼の顔を思い出したら、なんだか無性に会いたくなってきた。
早くこの場からおさらばして、彼に会おう。
そう思った私は、魔道書をシュッと消し去り、この場からさっさと退散したのだった。
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