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101番目の舶ィ語
第二十三話。夢の終わり
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で、薄い茶色の髪をツインテールにした快活そうな子です。
子供の頃に入れ替わった私の『分身』。六実音央として自分の代わりに過ごしていた妖精。

「ほんとに良かったの?」

彼女をしげしげと見ていたらその彼女に問われました。

「はい? ああ、名前の件ですか?」

一瞬、何のことを聞かれたのか解りませんでしたがそれが名前の事だとすぐに察しがつきました。
そうです。私は自分の名前を新しく付けたのです。
前の名前である『音央』も気に入っていましたが、同じ名前だと周りが混乱してしまいますから私は自分の名前を変える事にしたのです。
最初は目の前の『音央』が自分が変えると言って反対していましたが、彼女は既に『音央』として世界に認知されているので私が名前を変える事で納得してもらいました。

「構いません。今の名前も気に入っていますから」

「そう……なら、いいんだけど」

あの夢から出るのに必要だったのは、私自身の『個体認識』でした。
『魔女』であるキリカさんが魔術的にいろいろやってくださったみたいで、詳しい事は解りませんが。
そこには二つの選択肢があった事は知っています。

『私』の中で二重人格みたいに存在する方法と。

別々の存在として独立して存在する方法。

私達は迷わず後者を選びました。
それは多分……似たような理由からだったのでしょう。
キリカさんはニッコリ笑って、私達が2人とも『表の世界』に出られるようにしてくれました。
今回の件では彼女には本当にお世話になりっぱなしです。
他にも記憶操作をしてくれたり、一之江さんのお金や組織っぽい力を使って、私が夜坂学園に『転校』出来るように手続きまでしてくれています。
……人を使うのが上手い2人を見ていたらなんだか自分が考えていた悩みなどが小さな事のように思えてきました。記憶を弄ったり、お金を使って手続きまでしてしまうなんて……ズルいですよね、本当。
でも、まあ。
彼女達のような『都市伝説』もズルい存在だけど、そんなズルい存在に親しくさせてもらっている私の『リアル』も既にズルいような気がします。
そんな風に思って、思わず溜息を吐いていると。

「へえ、助かったんだね? お姉さん達」

不意に背後から声をかけられました。
2人揃って後ろを降り向くとそこには真っ白いワンピースを着た、小さな女の子が立っています。
その女の子の顔は白い帽子で隠れているので誰だかは解りません。
ですが、私は……この女の子に会った事があります。

「貴方は……」

そうです。思い出しました。
幼い頃、私がこの場所で一晩過ごした日。
彼女はあの時もこうやって幽霊みたいに現れて______

『これは、いつかお姉さん達を助けてくれるお守りだよ』


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