2部分:第二章
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打ちを与えていたのである。それはかなりのものだったのだ。
「いい加減王様も許せばいいのに」
「そもそもだ」
彼等はここでいつも王を批判するのであった。
「あれだろ?王様があんな変な愛人二人ばかり相手にするからだろ」
「誰だってそう思うよな」
「そうだよ。御妃様っていえばだ」
ソフィー=ドロテアである。彼女は絶世の美女とまで呼ばれていた。ところがこの王はその美女をまるで相手にせずあえてその愛人二人といつも一緒にいたのだ。王妃は何とイギリスにすら入っておらずドイツに幽閉されたきりであったのだ。しかもそれが長年に渡っていた。
「あんな仕打ちされたら誰だって不倫するだろ」
「そもそも不倫って普通にあるだろ」
「そうだよな。それこそその辺りにな」
そういった話が何処にでもあるのは何時の時代でも同じである。イギリス王家でもこれまでも幾らでもあったししかもこの王以降も多々あった。しかしこの王はそれへの処罰があまりにも冷酷であったのだ。だからイギリス国民も彼を陰で批判しているのである。
「何十年も幽閉してな」
「幾ら何でもやり過ぎだろ」
「何考えてるんだ?」
「あんなの二人も連れてな」
「本当に変な王様だよ」
「全くだ」
こんな有様だった。王は相変わらずイギリスにはあまりおらずドイツにばかりいてしかもその愛人二人と遊び続けていた。太子は周りの者達もイギリス国民も顔を顰めさせる程の仕打ちを受け続け王妃も幽閉されたきりであった。そして遂に幽閉が三十二年の長きに渡ったその時。王妃は遂に死の床についた。
「王妃様が危ないらしいな」
「で、王様は相変わらずか」
「ああ、相変わらずだ」
イギリス国民はここでまた王に呆れるのであった。
「今もイギリスにはおられないらしいぞ」
「政治は全部政府と議会がやってるしな」
「一体何の為の王様なんだ?」
「だからいればいいんだろ」
これはまさにその通りだった。立憲君主制の中でも最も近代的と言われる象徴王制だが当時は一般的とは言えないものであったのだ。だから彼等は王が政治を見ないのを不快に思っていたのだ。
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