1部分:第一章
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はそれでもよかった。何しろイギリスについて何も知らないからだ。それでどうこうするつもりもなかったのだ。
「それに関しましても」
「では私は王でいるだけでいいのか」
「左様です」
こういうことであった。
「ただそれだけでいいのです。貴方は」
「反対派はいないか?」
彼が次に気にしたのはこのことだった。
「私は外国人だ。その私が王になってもいいのか?」
「前例がありますし」
「前例がか」
「はい、そうです」
イギリスはかつてはノルマン公が王になったしスチュワート朝にしろチャールズ二世の娘の夫であるオレニエ公を共同統治者として王に迎えている。欧州の王家というものはハプスブルク家を中心とした婚姻政策の影響で互いに血のつながりが濃いのである。余談であるが後のビクトリア女王はロシアのロマノフ二世とドイツのヴィルヘルム二世の仲の悪さを零していたが実は彼等は女王の血が入っていたのである。
「それもありますし。まあ」
彼を王と迎えることに猛反対し暗殺さえ考えている人間のことはここでは隠している。
「政府も議員達の忠誠を約束していますし」
「つまり政府も議会もか」
「貴方は何も心配されることはありません」
ここであえて恭しく述べたのだった。
「貴方様は」
「そうか。それではな」
「はい、どうぞ陛下」
もう王と呼んでいる。
「我が連合王国へ」
「うむ」
こうして彼はイギリス王ジョージ一世となった。しかし王となりイギリスに入った彼を見てイギリス国民達は顔を顰めさせた。それは彼自身についての問題ではなかった。
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